あなたは時間を忘れる程、何かに夢中になる体験をしたことがありますか?
今回の記事はこの体験がテーマです。
やや、専門的なテーマのため、参考書籍が少し専門的なものになります。先にお伝えしますと…
「フロー理論」を提唱した心理学者のチクセントミハイによる学術書『フロー体験 喜びの現象学』の日本語訳版を主にこの記事の参考にしています。1996年に初版が発行されその後も版を重ねている本です。
本のタイトルになっている「フロー体験」とは、個人の能力のレベルと挑戦のレベルとが釣り合っているときに没入が生じ、楽しさを感じる経験のことをいいます。
心の癒しにも、行動活力にもなる、広く多くの人に活用できる心理状態なので、細部の専門的なことは省略して、簡潔にわかりやすく、このフロー体験について紹介したいと思います。
フロー体験とは
フローはテレビ視聴のような漫然とした受動的な行為によって生じるのではなく、仕事やゲーム、学習といった能動的な行為の最中に生じることが知られています。
また、フローは金銭や賞罰といったものではなく、自己のための行為によって動機づけられて生じるものであるとされています。チクセントミハイは、フローによって得られる楽しさが我々を真の幸福に導くと述べています。
例えば、大好きなスポーツを楽しんでいる時に、高い集中力で目の前のプレーに集中していき、我を忘れて夢中になっていた。余計な事を一切考えず、ただただプレーに没頭していたとか。
あるいは、
面白い本に出合って、我を忘れて読書に耽ってしまい、気が付くと驚くほどの長い時間が過ぎていた。しかし、嫌な疲れなどはなく、心地いい充実感みたいなものがある、とか。
夢中なることは、人それぞれですが、どんなことでも、能動的に関わる行為に没頭する。時間を忘れ、我を忘れ、高い集中力で、楽しめる体験。
あなたにもありませんか?
あるとしたら、それがフロー体験かもしれません。こうしたフロー体験を日常に取り入れることが、私たちを幸せにしてくれることであり、心の休息に繋がるものだということです。
フロー状態の特徴
フロー体験は、マインドフルネスと同様にアルタード・ステイツ(変性意識状態)です。つまり、通常の意識とは変わった状態、ということになります。
- 時間の感覚がなくなる
- 自分が消えて、体験に没入する
- 高い集中と心地よさがある
- 活動自体に喜びを感じる
という4つの特徴があげられます。
自分について考えたり、悩んだりしない時間を生きることになる訳ですが、普段からそんな人がいたらヤバいですよね?そういう通常の意識とは変わった変性意識状態と言われるものの一種です。
いつもはせわしなくて、自分のこと、過去や未来のこと、仕事や対人関係を考えてしまう意識。あれをしなきゃいけない、これをするべきだと、自分を追い回す雑念たち。
そういったものから、自由になってまるで流れ(flow)のように何かに没頭しする時間がフローなのです。
フローとの付き合い方
どうでしょうか?そういった時間、最近とれているでしょうか?
こういうものが、私にとってのフローなのかも?というものがあれば是非それと、向き合う時間を大切にしてください。難しいことを言いません。是非、自分にとってのフロー体験を見つめて欲しいです。
専門的な基準や細かい条件があるのも事実ですが、それは必ずしも重要ではないと思います。興味がある人は、先に挙げたような専門書籍を手に取っていただくとして、一般的には、そんなことどうでもいいんです。
とても有益な心理状態ですので、あなたが思いつくフロー体験を大切にしてください。そして、思い付かなければ、是非探してみてください。
CAUTION
だたし、二つだけ注意したいことがあります。
1)罪悪感を感じなくてOKです。
真面目な人ほど陥りがちですが、自分のための時間を変に無駄だとか、サボってしまったとか、決して思わないでください。本当に自分がその時間を楽しんでいて、誰かの幸せを侵害していないのなら、全然気にすることではないです。
ダメなのは、そこで罪悪感を持ってしまうことです。
これすることにどういう意味あるのかな?とか、コストいくらなんだろな?とは考えないでください。
なにか報酬や意味を求めるための活動は逆効果です。フロー体験になりにくい、という結果も出ています。
大事なのは、ただ目の前のことを楽しむことです。
いつもいつの間にか縛られている、私たちの活動に対する価値とか意味とかいうことから縛られた自由を解放しましょう。言い換えれば体験する時間そのものに意味があるワケです。
小さい頃、夢中で積み木を重ねたように、その時間を楽しんでください。
2)身体は大事に!
天才肌の人にありがちですが、夢中になり過ぎて、飲まず食わずで活動に没頭して、身体を壊してしまうことがたまにあるようです。
また、最近よく聞く、好きなことを仕事にして自由に生きる!といった調子で、フローを活用して没頭し過ぎてしまうと、身体が心配です。
適度な休息、健康管理をお忘れなく。
おしまいに
いかがでしたでしょうか。
人生への指南で「今ここ」を大切にしよう!というメッセージは、数多くの書籍や成功者によって語られています。
アドラーは、今ここに強烈なスポットライトをあてよう!人生はくりかえす刹那の連続です!と言っていました。
フローは究極の「今ここ」の過ごしかたです。是非、モノにしたい活動です。
この記事があなたへ何かのヒントになれば幸いです。
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