ユングの心理学を簡潔に

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心理学の3大巨頭と言えば、フロイト、ユング、アドラーです。この「3大○○」というフレーズですが、誰が言い出すのかご存じですか?

長らく広告の仕事に携わる者として、明言しますが、これは、第3を売り込むための常套句です。つまり、「心理学の3大巨頭」とはアドラーを売り込むために開発されたキャッチフレーズだと思われます。

それだけ、1番と2番がエライ!抜きに出ているマーケットであるを意味しているわけです。

ということで、この記事は、第2の男、ユングの心理学をできるだけ簡潔にまとめます。是非、最後までお楽しみください。

ユングの人物像

カール・グスタフ・ユング(1875~1961)プロテスタントの牧師の息子としてスイスに生まれます。

バーゼル大学で精神医学を学び、チューリッヒ大学で教授の助手として働いた後、1909年、開業医として働きます。

彼は、この頃にフロイトと出会います。1911年には、国際精神分析協会の初代会長に就任しますが、3年後の1914年、会長職を辞任、フロイトとも決別。

このころから、精神に異常をきたし幻覚などを見るようになったと言われています。

フロイトもユングもおじいさんになってからの写真が私は好きなのですが、これは、彼が37歳の時の一番有名な写真です。

ラウンドカラーのシャツと、極めて低いコージラインのジャケット、太めのタイ。私、バブルの時ちょうどこんなでした。

ユングの心理学

ユングはフロイトと同様に無意識を思想の中心においていました。両者の思想の相違点とはどのようなものだっかのでしょうか?

集団的無意識

まず、フロイトは無意識に抑圧されている欲動を性的欲求だと認識していました。一方でユングは、それを本能全般だと主張します。

また、フロイトが個人の中にそれぞれの無意識があると言ったのに対し、ユングは個人的な無意識の他に普遍的な人類共通の無意識があると考えました。これを集合的無意識といいます。

そして、この集合的無意識を通して起こる、意味ある偶然の一致がシンクロニシティです。

私たちひとりひとりが、地球や宇宙を構成している要素ですから、ちょうど、私たちの体の細胞ひとつひとつと同じように、存在を続けるというひとつの目的に沿って、全てが連携をとるようにプログラムされていても当然です。

元型

ユングは、人間の感性には共通のパターンが存在することを発見します。

例えば、丸いものには母性を感じるし、厳しい人には父性を感じます。そして、紀元前の神話などを振り返ってみても、同様の感性を物語から見出すことができます。

このことから、人間の無意識には、国や民族や時間を超えて、脈々と受け継がれている共通のイメージパターンがあるのではないか?と考えるようになります。これを元型(アーキタイプ)と言います。

元型は人間が持つ無意識のある領域に存在していて、その領域のことを集合的無意識と呼んだのです。

何かを判断する時に、人類が共通して保持しているイメージが働いている‥

だからこそ、あらゆる違いを超えて、人間同士は対話と理解が可能になると考えました。

ペルソナ

ユングは、フロイトと同様に、無意識に欲望や自分の一部が抑圧されていて、それが表出することで神経症などの症状が現れると考えていました。

ユングはペルソナの概念を提唱した上で、舞台を降りても仮面を外せないことに問題があると考えました。

例えば、仕事の態度をプライベートに持ち込んでしまうとか、学校で演じる良い子を親の前でもやめられないとか、仮面の付け外しがうまくいかないことは往々にしてあります

そして、そのようにペルソナの付け外しが上手くいっていないことが、夢でそのストレスを象徴するような映像として現れるとされています

例えば良い子の仮面を外せなくてストレスを抱えている少年が、夢の中で親を歪曲させた怪獣という存在と闘うなどがそれにあたります。

ユングは「自分に合ったペルソナを見つける事」そして「ペルソナの付け外しを上手に行うこと」が重要だと考えます。

投影(シャドウ)

ユングによれば、人間は表出している自分とは正反対の方向性を持っていてその片方は影として隠れているといいます。

元は古典劇で使用する仮面を指す言葉でした。
そこから転じて社会的役割を演じるために身に付けている仮面のことをユングがペルソナと表しました。

社会という舞台で生きていくために、その場にあった自分を演じるための仮面を身につける。

例えば、底抜けに明るい人がいるとして、その人には底なしにクライ側面も必ず存在しているのだけれども、その部分は影に隠れて見えないわけですね。

そして、底抜けに明るい人が、ネチネチとくらい人を見た時にイライラしてしまうのは「他者に自分の影を見ているからなのです」

自分が無意識に押さえつけている影の側面を他者に見ることによって、自分にその要素が存在しているとこを認めたくないという感情が起こり、それがマイナスな感情を生み出す一因になっているのです。

これを投影といいます。

ユングの観点を採用すると、他者を通じて自分の影を認識し、自分と対話できると考えることができます。

そのようにして自分の内面と間接的に向き合うことで、他者を認める(=自分の側面を認める)というように自身の成長につなげることができます。

自分に合ったペルソナを見つける。また、自分の影を意識する。そのためには自分をよく知ることが重要になりそうです。

タイプ論

「外交的」or「内向的」
×
「思考」or「感情」or「感覚」or「直感」

ユングはこの自分を知る。という部分に対してひとつの指標を設けました、それがタイプ論です。

彼は人間を8つのタイプに分類しました。

まず、前提となるのが心のエネルギーの向き。心のエネルギーが外へ向いているタイプを外交的と呼び、このタイプは社会情勢や流行などに意識が向いているといいます。

逆に、心のエネルギーが内を向いているタイプを内向的と呼び、このタイプは気分や感情に左右されやすいといいます。

更に、ユングは人間の心の機能を4つに分類し、そのどれが最も強く働くかによって4つのタイプを作ります。

  • 1つ目は、思考型。論理瀧な考え方や理屈で物事をとらえようとするタイプです。
  • 2つ目は感情型。物事を好きか嫌いで判断しようとするタイプです。
  • 3つ目は感覚型。物事をそのまま、あるがままに捉えるタイプです。
  • 4つ目は直感型。思い付きやひらめきを重視するタイプです。

心のエネルギーの向きと、心の動きの方向性によって、合計で8つにタイプ分けをすることができます。

今流行りのエニグラム診断などの原型となった考え方です。

ユングはこのようにタイプを分類したうえで、自分のタイプを把握し、その特性を加味したうえで得る組なを構築し、苦手な部分を補填し、得意な部分を伸ばしたりすることで、新しい自分を作っていくことができる。と考えました。

いわゆる自己実現がこれに当ります。

おしまいに

私がユングの発見でいちばんだと思うのは、シャドウです。これは、アドラー並に使用の心理学だと思うからです。

アイツはバカだ、ダメだ、アホだ、考えられへんとか、人が人の悪口を言う時全部、それはなんと自己紹介だという訳です。

そして、言われてみれば、確かにそうなのです。自分の胸に手を当てると、本当にそう思います。お恥ずかしいかぎりなんです。

そうならないように一生懸命自分と戦っているんだから偉いっちゃ偉いんですけどね。それを認めて欲しい、承認欲求なんですかねぇ…

最後まで、読んで頂き感謝です。

カール・グスタフ・ユング主著

「心理学と錬金術」

「アイオーン」

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