信頼関係を築くには?信頼の意味と関係の築き方

他者信頼

人間関係を確かなものとしていくには、信頼関係に注目することが不可欠ですね。

私は、約30年広告営業を生業にしている今は経営者ですが、業界的にも業種としても、信頼関係の構築は、何よりの命題となってきました。

この記事では、アドラー心理学に基づいて、信頼関係を築くための、信頼の意味と関係の築き方について解説していきます。

表層的な技術論で終わらない、本質的な内容にまで踏み込みますので、ぜひ最後までご覧ください。

信頼関係を築くために知っておきたい信頼の意味

まず、信頼とは

他者を信じるにあたって一切の条件を付けないことです。

信頼と信用について

対人関係の基礎は信用ではなくて信頼です。

銀行でお金を借りるには担保が必要です。あなたが返済可能な分だけを貸す、これが信用です。つまり条件付で信じることです。もちろん対人関係の一種ですが、取引ですね。

一方、他者を信じるときに、一切条件をつけない状態で、もし、裏切られても信じ続ける態度でいることを信頼といいます。相手が自分を裏切るかどうかは相手の課題です。

ありのままの相手をそのまま信じること、人間の存在そのもの、尊厳を尊重する態度です。

更に言えば、信頼の対義語は懐疑です。対人関係の基礎に懐疑を置いていたらどうでしょう。前向きな関係は築けないと容易に想像がつきます。信頼を恐れていたら誰とも深い関係を築くことができません。

つまり、他者へ信頼寄せて深い関係に踏み込むめば、対人関係の喜びは増し、人生の喜びも増える。人生を豊かにしてくれるのが信頼関係です。

自己信頼と他者信頼

信頼とは、人間の存在そのもの、人間の尊厳を尊重する態度だということは前述したとおりです。

つまり、信頼は自分自身にも寄せるものです。前提として自分が自身を信じるからこそ、他者に条件を求めずに信じることができるともいえます。

尊敬と信頼

実は、尊敬とは、自分もそうありたいと願う、憧れにも似た例の感情のことではありません。それは、虚像を崇めているだけの姿です。

尊敬とは、他者のありのままを尊重することです。

どうしてそんなことができるのか?それは、その根底に信頼があるからです。つまり、尊敬と信頼は同義語です。

他者のことを信頼できるかどうかは、他者のことを尊敬できるかどうかにかかっています。

尊敬と共感

尊敬は言葉では示せません。他者の関心事に関心を寄せること。これが尊敬への第一歩です。

「他者の目で見て、他者の耳で聞き、他者の心で感じること」これはアドラーが好んで使った表現だそうです。

尊敬なしで信頼はできません。更に、尊敬への入り口が共感です。共感とは、単なる同調でなく、他者に寄り添うときの技術であり、信頼と尊敬を示す態度です。

信頼関係の具体的な築き方、4ステップ

前述をまとめると、信頼関係構築は4ステップです。

①自己信頼:
ありのままをの自分を受け入れ何があっても信じる
②共感:
他者の目で見て、他者の耳で聞き、他者の心で感じる
③尊敬・他者信頼:
自分から先に他者のありのままを尊重し続け、信じ続ける
④相互信頼:
他者から信頼がかえってくれば信頼し合う状態になる

仕事、友情、愛情、それぞれでの信頼と関係の築き方

仕事の関係

自然界で、身体的に劣等性を抱えた人間は、ただ、群れを作ったのではなく、分業という画期的な働きかたをするために社会をつくりました。

人間は働くため、イコール、分業するために社会を作りました。生きることと働くこと、そして社会を築くことは不可分です。

われわれは働き、協力し、貢献します。他者と分業するためには、その人のことを信じなければなりません。

現代の私たちが務める企業組織においては条件付の「信用」と無条件の「信頼」のどちらを働かせるべきでしょうか?

企業では両方が必要となります。

もしも、「信用」一本でいくとすればそれは「人に厳しく、仕事に厳しい」軍隊のような組織となります。対人関係は希薄になるでしょう。しかしその逆も問題です。「人にやさしく、仕事に甘い」組織は単なる仲良し集団で顧客満足には程遠くなります。

目標は「人にやさしく、仕事に厳しく」、つまり、会社という人格で「信用システム」を淡々と廻し一対一の人間としては「信頼システム」を回す。その両立が求められます。

交友の関係

普通の知人の前では、人はなかなか仮面を脱げません。傷つくことを避けているからです。あらゆる人が本音をぶつけ合う世の中は地獄絵図です。

しかし、親友の前では仮面を脱ぐくことができます。それで傷つけ合うことになっても、関係は崩れません。たとえ、一度や二度の不義理を働いても、それだけを理由に関係を断とうとは思いません。お互いの短所も長所も受け入れたうえで、関係を結んでいるわけです。

われわれは、そういう他者との繋がりを求めています。そして、他者と信頼で繋がりたいなら、自分から手を差し出すことです。他者がわたしを信頼してくれるかどうかは他者の課題です。もし、信じられていなくても、先に信じ、信じ続けることが私たちにできる唯一のことです。

われわれ人間は、わかり合えない存在だからこそ、信じるしかないのです。

愛の関係

最後は、恋愛関係と家族の関係についてです。

人は「この人と一緒にいると、とても自由の振舞える」と思えたとき、愛を実感します。相手が幸せそうにしていたらその姿を素直に喜べるのが愛です。

束縛は、相手を支配しようとする心のあらわれです。不信感を抱いている相手と同じ空間にいて、自然な状態でいることなどできません。

また、落ちる愛は所有欲や征服欲と変わりありません。落ちる愛がゴールにしているのは、結ばれるところまでです。結ばれた後の関係、ふたりで成し遂げる幸福への視野にありません。

信頼を基礎にした本当の愛を知ったとき、人生の主語が、わたしから、わたしたちへと変わります。

ひとことで言えば、愛はわたしからの解放です。つまり、愛とは甘やかされた子供時代(自己中心性)からの脱却であり、それは自立です。

人生の新たなスタートで、たったふたりから始まったわたしたちは、やがて共同体全体に、そして人類全体にまでその範囲を広げていきます。

まとめ

  • 信用は条件付き、信頼は無条件で信じること
  • 信頼関係を築くには、自分が先に尊敬し共感を寄せる
  • 仕事と交友と愛の関係にはそれぞれの信頼の築き方がある

以上は、「嫌われる勇気」「幸せになる勇気」「もし、アドラーが上司だったら」を元に執筆しました。

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