自己受容できない人の特徴と原因、有効な対策と評価

自己受容

巷は空前の自己肯定感ブームですね。ググればたくさんの情報がヒットするし、書店には関連する啓発本がたくさん平積みされています。

たしかに、自己肯定感は自己実現力や幸福感に直接的に作用するため、とても有益です。

自己受容とは、「ありのままの自分を肯定的に受けいれる」自己肯定感を引き上げるのに必須のスキルです。

もともと自己肯定感が低めな日本人は、とてもこれを苦手とする人が多いようです。

そこで、この記事では次のことについて解説していきます。

  • 自己受容できない人の特徴と原因
  • 自己受容できる人になる有効な対策
  • 自己受容できているのか評価する方法

私は、約30年広告営業を生業にしている今は経営者です。私はこの自己受容について、個人の成長だけでなく、ビジネスの成長にも欠かせず有益なことを理解しています。そんな実体験も合わせて自己受容を解説します。

尚、この記事の心理学上の基礎知識については、アドラー心理学を根拠としています。

では、さっそく本題に入ります。

自己受容できない人の特徴と原因

まずは、自己受容できない人のパターンを見ていきます。

自分を許し認めることに違和感や嫌悪感を感じる人

自己受容が出来ない人のパターンはじめのタイプは、心が深く傷ついてしまっていて大きく自信を失ってしまった人です。

人は心に深く傷を追うと、二度と同じような辛さを繰り返さないように潜在意識に書き込みされます。これは生きるための防衛本能が働くからです。

このタイプの人にとって、自分を認め、受けいれよう!というメッセージが能天気で気持ち悪く感じることがあるようです。

この場合まずは、心の傷を癒す(許す)ことが先決です。

諦めか?甘やかしか?意味理解を難解に感じる人

次に、真面目に自分に厳しく、危機感を背にして、負けそうな自分に活を入れて奮い立たせて生きてきた人です。

このタイプの人にとって、自分の劣等感を手放すことが許しがたく、自己受容の意味が理解しがたいと感じることがあります。

特に、他者との比較や競争や優劣への拘りをモチベーションにしてきた人にこの傾向があります。

人間はみな平等で尊厳ある存在だということ、競争は人間の本質ではないということを、きれいごとでなく本気でそう思えるかどうか、ここを一度検討してみてください。

受け入れワークやっても何も起きない、という人

受け入れワークをいろいろ試してみるけれど、気分も行動も変わらないという人も居ます。

受け入れワークをスピリチュアルなお呪いのように解説する立場もありますが、それによるとこのような結末に陥りやすいのかもしれません。

自己受容はあくまで自立と成長のための戦略です。ありのままの自分を肯定的に受け入れて、その上で、この後どうしていくか?目標とアプローチを決め、意図的な行動をとるということをセットしてみてください。

次の目標を立てて取り組んだけれど結果が出ない人

ここでは私自身の体験をお話します。

私はある新しいチャレンジに取り組んでいましたが、進捗が芳しくありませんでした。

気分もモヤモヤするので、自己受容にトライしました。自分の何に欠乏感を感じるのか?劣等感に目を逸らす事なく内観しました。

この新しい仕事には、未知の情報収集が大量に必要だったのですが、これに集中できない自分を見つけました。そこで、これを認め許しました。そして、その上で、今後どうするか?これを考えました。

結果的に、集中力改善のトレーニングをルーティンワークに加えました。トレーニングには没頭できて、その効果は絶大でした。しかし、どうも本来の目的の新しい仕事の進捗には、結果を大きく変えるような変容は起きませんでした。

結果的に、この部分の心のモヤモヤが元よりも少し強くなっていました。

でも、大丈夫。モヤモヤなどのネガティブな感情がある分、自己受容は試せます。この仕事へのいい予感を取り戻すまで、繰り返すだけです。

自己受容できない人ができる人になる有効な対策

次に、それぞれのタイプごとに具体的な対策を見ていきます。

自分を許し認めることに違和感や嫌悪感を感じる人

自己受容自体をどこか「しゃらくさい」とか「気持ち悪い」とか感じるようであれば、まだ前を向く準備ができていないのかもしれません。

今のありのままの自分を「肯定的」に受け入れることができないのは、潜在意識の中の自分と顕在意識の自分との意見が分かれているせいです。

潜在意識の中に組み込まれている思考は、習慣や癖となって無意識的に行動を発動しています。意識全体の97%と言われる潜在意識のパワーは甚大です。これが現在の取り組みにブレーキをかけています。

その原因になっているのは過去の経験、心の傷です。

心の傷が深い場合、まずその傷を癒す必要があります。おそらくその原因だとしている誰か、もしくは、何かを恨んでいるのではないでしょうか。

しかし、自己受容に興味を持ったのであれば、その深い傷の原因をそろそろ許す(癒す)タイミングなのではないかと思います。

心の傷があまりに深い場合については、少し心理学を書籍等で学ぶか、もしくは、自分に寄り添ってサポートしてくれる専門家を探すことをおススメします。

※このブログでも、幼少期の記憶が自己受容を阻んでいるケースについて書いた記事があります。

関連記事:自分を許せない、認められない。自己受容を阻む幼少期の記憶

※アドラー心理学に関する書籍については、何冊かネタバレ要約を書いていますので、参考にしてもらえれば幸いです。

関連記事:アドラー心理学関連の書籍の要約

諦めか、甘やかしか?意味理解を難解に感じる人

自己受容は、自分を無条件で信頼する行為です。これは、他者との比較・競争の世界とは無関係の案件ですから、一度、切り離して考えてください。普通とか常識とかいう判断基準も不要です。

それは人の人格そのものを信頼する思考でもあるため、仲間や他者へも無条件の信頼を寄せ合う関係に繋がっていきます。

一方、仲間と優劣や正誤を競う関係や、仲間に依存する関係は、人間の機能を追求していく姿勢で、上下や支配の関係に繋がります。

こうした競争原理による生き方を必ずしも否定するわけではありませんが、人間の存在価値を対象にしている自己受容する世界観とは構造的に相反します。

人間は社会に貢献するために、他者と特定の能力を競う側面はあるものの、その能力だけでしか社会に貢献できないわけではありません。それ以外の能力を無限に発動する可能性があるわけで、人格そのものは比較評価されるべきではありません。

受け入れワークやっても何も起きない、という人

自己受容を試みた結果、どうなるのか?どうするのか?

それは、自分のポジもネガも認めた上で、今の自分に何ができるのか?を考えます。ここに着手しなければ、自己受容をしても何も起こりません。

自己受容をした上で、次の行動をどうするのかを是非固めてください。

この時受け入れるネガティブは、だいたいの場合が自分自身の劣等感ですが、この自分の劣等感をどう克服したらいいか、次の行動に悩むことがあるかもしれません。そんな場合は、次の関連記事をご覧ください。

※関連記事:「劣等感に苛まれている人に伝えたい話」

次の目標を立てて取り組んだけれど結果が出ない人

私は、新しい事業へ着手を決め、取り組んでみたところ、集中力が上がらないという壁にぶつかりました。そこで、集中力を高めるトレーニングを行いました。しかし、一定の成果はでるものの、計画の進捗は捗りませんでした。

そこで、また改めて自己受容を意識しました。なぜ、新しいビジネスに没頭できないのか?この苛立ちについてです。

すると、もうひとつ隠し持っていた劣等感に気が付きました。長年、営業畑をテリトリーにしてきた私には、今回のような情報を収集整理する作業は不得意、苦手意識がありました。そこで、このことをそのまま受け入れました。

今まで、こういう仕事はたいてい誰か得意な仲間にお願いをしてきました。そういうタイプの仕事を今回は自分でやろうとしているのです。その上で、今回はどのようにしていくか?これを考え、次のトライを始めるまでが一連の工程です。

このように、自己受容とは心の反省会です。これによって心を軽くして、前向きになって、次の行動の仮説を立てるわけです。これが適切でなければ次々とやっていくしかありません。

自己受容できているのか評価する方法

これについては、ひとことで言えます。それは、

「あなたは今ポジティブか?」

これだけです。

怒り、苛立ち、悲しみ、辛さ、寂しさ、あらゆるネガティブな感情は自己受容できれば手放せます。

ネガティブな感情の正体を認め、癒し、許し、手放すという心の調整を行って、今後のプランを建設的に考える、それが自己受容だからです。

大切なので念押しで言い換えておくと、60点の自分をそのまま受け入れた上で、100点を目指すにはどうしたらいいかを考え、トライするのが自己受容です。

これは、あなたらしさの追求です。得意も不得意も熟知したうえで、人生の課題を明らかにして進化することです。

まとめ

自己受容とは…

・ありのままの自分を肯定的に受け入れること、
・傷つき過ぎた心は、しっかり癒して望んでくださいね。
・人は対等で平等で尊厳ある存在という世界観が前提で、
・その上で、今トライする課題を次々明らかにします。
・そして、あなたは地に足のついたポジティブになります。

人間の能力のひとつに「受容力」があります。想定外を受け入れる器量などを指す力です。自己受容に努めていったら、程なく、いくつかのエピソードとともに「自分の強みは受容力です」と言い切れるようにきっとなります。

最後に、アドラーが語った自己受容のコツで締めくくりたいと思います。

「不完全である勇気」「失敗する勇気」「間違えが明らかになる勇気」を持て

この三つの勇気さえ持てば、無条件で、ありのままの自分を肯定できるようになるはずだと、アドラーは考えていたそうです。

「自己受容できない人の特徴と原因、有効な対策と評価」

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