芥川啓介 著「アドラー心理学で楽になる人間関係」要約

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芥川啓介 著「アドラー心理学で楽になる人間関係」

この本は、アルフレット・アドラーの理論をもとに、その後のアドラー心理学の発展した内容も加味した、人間関係を楽にするための本です。アドラー心理学を実践してきた著者の体験やそれに関わってきた人達に裏打ちされた実践法をふんだんに盛り込りこまれています。

とても、マイルドに常識的に大人っぽく実践的なアドラー心理学が語られています。

常識へのアンチテーゼと解された「嫌われる勇気」のアドラー心理学とは、一味違った印象を受けるのがとても興味深い本です。

  1. 人間関係は、自分の力で変えられる
    1. 苦手意識は過去の記憶が原因
    2. 苦手な人がいてもいい
    3. 心は時にウソをつく
    4. 人間関係の「基本的な誤り」
    5. 「○○に行きたくない」から「苦手な人」が生まれる
    6. 「目的論」
    7. 他人の機嫌が悪いのは、自分のせいじゃない
    8. 相性の法則
    9. イヤな人間関係は「仕事」と割り切って
    10. 気に入らない人の懐に飛び込んでみる
    11. 相手の短所も「ウラ側」をよく見て
    12. 「好き・嫌い」の尺度は不要?
    13. 挫折も、成長する種
  2. 人間関係は「勇気」から始める
    1. 勇気を与えられる人に、苦手な人はいない
    2. 朝日夜の習慣により、自分の気分を高める
    3. 言葉だけでは人は勇気付けられない
    4. 褒めるのではなく、勇気づける
    5. どんな相手でも、感謝する材料を探す
    6. 感謝以外の勇気づけの方法
    7. 人間関係をダメにする「勇気くじき」
    8. 「なぜなぜ攻撃」は嫌われる
    9. 「勇気づけ」とは違う6つのNGワード
    10. 「共同の課題」を見つける
  3. 人間関係をこじらせないための「感情」のルール
    1. すべての感情には「目的」から生まれる
    2. 人間関係がうまくいかない時の感情とは
    3. 仲良くなんてしなくていい
    4. 話すことが見つからない不安は、心の準備のサイン
    5. 不安は人間関係を育てる
    6. 恨みの感情は第三者を通じてゆるめる
    7. 「怒ることで何がしたいのか?」を自問する
    8. 孤独感は、他者への貢献で解消できる
    9. 人を近づける笑顔の力
    10. 落ち込みたい時は思いっきり落ち込む
    11. 後悔した過去との折り合い
  4. 人との距離を縮めるアドラー流コミュニケーション
    1. 話す事よりも聴き上手に
    2. 相手の関心を引き出す
    3. 自慢話は「優越コンプレックス」の表れ
    4. 自己イメージを変えられてセルフトーク
    5. 人間関係を悪化させる「三つの比較」
    6. 復讐行動は避けるべき下策
    7. 未来につなげるための落としどころを探る
    8. 断りにくい要求をされたらどうするのか
    9. イラっとしたときには逆に質問
    10. 注意は「目的」を相手に理解させる
    11. たとえ子供だろうと尊敬の念を忘れない
    12. 自分と他社の権利は常に平等
  5. 習慣付けこそが、人間関係を変える源
    1. 習慣は、今この瞬間から変えられる
    2. 良い人にならないための習慣付け
    3. 自分だけ苦手な人をに留めるコツ
    4. 加点主義発想の重要な3要素
    5. 良い人間関係の5つのポイント
  6. まとめ

人間関係は、自分の力で変えられる

人間関係の4つの要素は、①自分自身②関係③環境④相手です。そして、この並びの通りが変えやすい順序です。人間関係に問題があったとき、真っ先に変わって欲しいと思うのを相手とする人が多いのですが、実は、一番変え難いのが相手です。

アドラー心理学では「自分に好意を決めるのは自分自身」(自己決定性)を唱えます。どんな状況でも、どんな相手であろうとも、まずは自分自身が「これからどうしたいのか」を選びます。

自分の心構えをちょと変えるのは簡単だし、人間関係を大きく変える切り札になります。

苦手意識は過去の記憶が原因

人は、人と出会った時に、自分の経験を元に一瞬で人を「苦手」「まあまあ」「得意」と振り分けています。こう言う主観的なモノの見方をアドラー心理学では「認知論」と呼びます。

「認知論」とは、「人間は、例え同じものを見たり聞いたりしても、人によって、それらの受け止め方が大きく違う」という考え方です。

また、ある人を嫌いと認識してしまうと意識しない限りなかなか好きに変えることはできなくなります。

苦手な人がいてもいい

苦手な人というのは、決していなくなることはありません。苦手意識を弱めることは可能でも、ゼロにすることは誰にもできません。これは最も変えにくい「相手」を変えることだからです。

心は時にウソをつく

私たちが人間関係に限らず、悩む時には、ある一定の傾向があります。一番多いのが、物事を必要以上に誇張してしまうことです。

人には誰でも苦手な人がいます。しかし、周囲が苦手な人だらけになってしまうことなど絶対にありません。

例えば、学級に数人、苦手な人がいるだけで、みんな自分を嫌っていると思ったりしてしまうことがあります。そんな時冷静に、自分を嫌っている人、それから、仲のいい人を上げていくと、ちゃんと好意を持っている人がいることが分かる、ということがあります。

人間関係の「基本的な誤り」

みんなに嫌われていると思った時、多くの自分に好意を持ってくれる人は、いつのまにか頭の中から消えています。そして、みんなに嫌われているように思い込んているのです。

こうした思い込みをアドラー心理学では「基本的な誤り」のひとつ、「誇張」と呼びます。

「基本的な誤り」には、ほかにも「過度の一般化」「単純化」というものがあります。

「過度の一般化」とは、特定の現象を見て、すべてがそうなっているように一般化してしまう心の働きのことです。例えば、学校で友達との関係が上手くいかなくなったら、勉強も上手くいかないし、スポーツも上手くいかないと決めつけてしまうようなことです。

そして、すべてを0か100かで考える「単純化」の発想に傾きます。「みんなに嫌われているからもう2度と学校に行かない」と決めつけるわけです。

何か嫌なことが起きた時に「例え○○だとしても~」と考えると、すべてが嫌なことばかりでないことに気が付きます。

これはイーブン・イフ(even if)発想という考え方です。

「○○に行きたくない」から「苦手な人」が生まれる

会社や学校に行くのが辛い人は、その理由として「苦手な人がいるから」という理由を持ち出すことがあります。

「苦手な人がいる」(原因)から「会社に行きたくない」(結果)という順序の考え方を「原因論」といいます。

「目的論」

そこでアドラーは、人は目標を達成しようとする欲求を持って生きている、という考えをベースに人間心理を読み解こうとしました。これは「目的論」と呼ばれる考え方です。

目的論では、未来に目標があることで現在の状況や行為が決まってくると考えます。つまり、先ほどの例でいえば、「学校をやめること」が目的であって、「人間関係が苦手」というのは、後付けされた理由にすぎないわけです。

このように、意志の無い目標は常に適切なわけではありません。そこで、意志を達成することを目標にすると、そこから勇気をもった行動ができるようになるというわけです。

つまり、苦手な人がいるという事実を認めた上で、これから人間観で悩まないために何が出来るかという未来志向を持つことが大切です。

他人の機嫌が悪いのは、自分のせいじゃない

相手の期限が悪いと、人は自分のせいだと思いがちです。でも、相手が不機嫌なのは、相手も問題であって、多くの場合自分は無関係です。アドラー心理学では、機嫌が悪い事にも目的があると考えます。他人を近づけたくないという目的です。不機嫌なのは相手がの意志で不機嫌でいたかったのです。そんな時は深く関わらず、タイミングを改めればいいのです。不機嫌は長続きしません。別の日には機嫌がよくなります。

相性の法則

人の苦手意識は、確かに解消されることがあります。最初はなんとなく苦手意識を感じていた人でも、付き合っていくうち、徐々に親しくなれることがあります。苦手な人のイメージも、良い経験によって上書きされます。

しかし、何が何でも嫌なイメージを上書きしないといけないわけではありません。どんな努力をしても、どうしても苦手な人というのはいます。

人には相性の法則があります。「2:7:1」か「2:6:2」の割合で「相性の良い人:普通の人:相性の悪い人」に分かれます。人は誰にも苦手な人がいる。苦手な人とも付き合っていくうち上手くいく事があるし、やっぱり上手くいかない事もある。そう考えて肩の力を抜きましょう。

イヤな人間関係は「仕事」と割り切って

生きていくためには、あらゆるところで人間関係が発生します。その中には、良くない関係もあります。でもそれは、一日中ずっと続くわけではありません。時には、人間関係は仕事だと割り切ることが大切です。
仕事の場合、まずは、報告・連絡だけは抜かりなく、事務的に伝えれば、それ以上関係がこじれることはまずありません。一日の内、ほんのちょっとの苦行だと思いましょう。

そして、他の、未来に待っている楽しみに目を向けていれば良いのです。

気に入らない人の懐に飛び込んでみる

みんなが好きだと言っているけど、自分は何となく苦手な人がいることがあります。そんな時は、やはり、好かれているだけの何かがあると理解できることが必ずあります。

どんな人でも付き合ってみないと分からないこともあります。そして、苦手な人でも、何かしら波長が合う場合があります。

だから、苦手な人の懐に思い切って飛び込んでみることも、時には必要です。やはり、どうしてもうまくいかなければ、また、距離を取ればいいだけです。

相手の短所も「ウラ側」をよく見て

人は基本的に、長所に基づいた行動をしています。例えば、あいさつする、同僚にお茶を入れてあげる、不在の人に代わって電話に出てメモを残す。

しかし、普段から行っている長所に基づく行動が当たり前すぎて、目立たずに、見逃しがちです。それどころか、長所に元づく行動までも、短所として捉えてしまいがちです。

こういった問題に関連して「大切なことは、何を持っているかではなく、持っているものをどう使うかである」とアドラーは言っています。

短気な人→瞬発力がある人
トロイ人→じっくり考えて行動する人
頑固な人→信念が強い人

※短所の裏側を辞書的にまとめた記事
関連時期:リフレーミング辞書

こんな風に、マイナスの部分に目を向け過ぎず、プラスの部分をよく見てそれを活かそうと考えるだけで、苦手意識を克服できる可能性が高まります。

「好き・嫌い」の尺度は不要?

アドラー心理学では、好き嫌いに変わる尺度として、建設的であるか、非建設的であるかを提示しています。これは、自分と相手との共通の目標を設定して、その目標を達成するために、2人はどうあるべきかを考え、お互いに働きかけていくような関係を意味します。

好き嫌いかを人間関係の尺度にすると、最終的には相手の判断にゆだねることになるので、相手との関係を自分ではコントロールできなくなります。

ですから、職場の人、家庭、恋人のために、自分は片して本当に貢献しているのだろうか、建設的な行動ができているのだろうかを考えた方が自分でコントロールできることに時間を使えるはずです。

みんなに好かれるというのはハッキリ言って幻想です。好かれることに執着しなくても大丈夫。自分に好意を持ってくれる人もいれば、嫌う人もいる、ただそれだけのことです。

挫折も、成長する種

人間関係で失敗したとき、くれぐれも相手を攻撃したり、自信を失ったりしないでください。失敗はチャレンジの証です。失敗を後悔するより、チャレンジを多いに評価すべきです。

失敗はせっかくの学習のチャンスですから、むしろ積極的にしてもいいくらいです。リスクを負わずしてリターンは得られません。

真の人間関係を築く上では、失うものだってたくさんあります。誰ともかかわりを持たず、まったく傷つかない人生より、時には傷ついたりしながらいろいろな人とかかわって成長していく人生の方が魅力的です。

芥川啓介 著「アドラー心理学で楽になる人間関係」

人間関係は「勇気」から始める

勇気を与えられる人に、苦手な人はいない

アドラー心理学では、目標に向け、一歩踏み出せるように他者を、そして自分を「勇気づけること」をとても重視しています。

そのため「勇気の心理学」などと呼ばれています。勇気とは困難を克服する活力であり、勇気づけとは「困難を克服する活力を与えること」です。

苦手な人をなくすために勇気が必要な理由は3つです。

①相手の自己肯定感を高められる

自分自身を嫌っている人は、自分の姿を他者に投影して、他者も嫌ってしまう傾向があります。つまり、自己肯定感の低い人と上手く付き合うには、勇気づけで相手の自己肯定案を高めるのが一番です。

②相手の信頼感を高められる

相手を勇気づけると、お互いの信頼関係が高まります。当然、人間関係も良好なものへと深まっていきます。逆に、下心で相手をおだてるような行為は、不信感を生むので勇気づけとは全く異なります。

③相手が他人に活力を提供できる

勇気づけた相手が元気になり、その元気を周りの人のために提供していくのが理想的な姿です。

勇気づける相手は、自分自身と他者の2種類があります。では、まず、アドラー流の自分を勇気づける、4つのルールを紹介します。

①「目的志向」で生きる

過去は変えられませんが、現在と未来は変えることができます。そのために、正しい目標を選んでいくことが自分を勇気づけることになります。

②「建設的な人」を目指す

良い人を目指すのではなく、建設的な人を目指します。良い人とは、自分が他人の期待を思いこむで背負っているだけの可能性が高いです。他人は、自分が思っているほど、あなたに興味を持っていません。あなたが良い人をやめても、人間関係が悪化する心配は無用です。

それより、新貝の共同の目標のために何ができるのかを考えて実行するのです。それが自分を勇気づけるだけでなく、相手を勇気づける近道にもなります。

③笑いを取り入れる

アドラー心理学では、笑いの効果を重要視しています。アドラーは「喜びは自分を他者とむずびつける情動であり、悲しみは離反させる情動である」と語っています。人は笑う事で開放的になり、心にゆとりが生まれます。物事を客観的、楽観的、未来志向で見られるようになります。

アドラーの弟子、ウォルター・ベラン・ウルフは、「笑えば世界は君とともに笑い、泣けば一人で泣くのだ」という西洋のことわざを引用して「笑いとユーモアのセンスを養う事は、良い世界の為のすばらしい訓練である。自分自身と仲間の人とを結びつけるためには、和かでユーモラスなパーソナリティを養うのが一番である」という言葉を残しています。

④楽天主義でなく、楽観主義になる

楽天主義とは根拠もなく良いことが起きると信じる能天気な人のことです。一方、楽観主義の人は、世の中には良いことも悪いことも起きると理解している人です。その上で、自分は最善の選択ができると信じています。

朝日夜の習慣により、自分の気分を高める

人は今日一日を幸せに生きるか、不幸に生きるかを決断できるという人がいますが、同感です。きょう寝る前に「今日も良く頑張った」と言ったとして、しらじらしくなく日にしたいです。

・がんばるぞ~と朝いう
・あ~、スッキリサッパリと風呂上りに言う
・今日も良く頑張った、就寝前に言う

※今日も良く頑張った、と就寝前に言えるように

言葉だけでは人は勇気付けられない

人間関係を円滑にする相手への勇気づけは次の4つの条件によって成り立っています。

①発信者

同じ言葉であっても、誰が発信するかによって、勇気づけになる場合とそうでない場合があります。

②受信者

人によっては勇気づけの言葉を受け付けないことがあります。

③記号

表情や語調、態度などのことです。

④相互関係

お互いに信頼し合っている人同士であれば「バカだなぁ」という悪口も勇気づけに聞こえる場合があります。

褒めるのではなく、勇気づける

褒める事は外的動機付けで、一種の評価ですから、上下関係が前提にあります。アドラー心理学では、人間関係を上下関係でとらえてしまうことは、精神的な健全さを損なうものとみなします。上司と部下だろうと、親と子であろうと、等しく横一線に並んでいる人間関係をベストとしています。

一方、勇気づけることは、内発的動機付けです。相手が自立して、自らに困難を克服する活力を与えることです。ここにあるのは、評価という上下関係ではなく、共感し合う対等の関係です。

人を褒めることがあってもいいのですが、褒めることにはデメリットがあります。

①褒めて人を誘導する習慣がつくと、褒めるのをやめたとたん相手は動かなくなります。褒め始めたらやり続けなければなりません。

②褒め続けると、要求がエスカレートするため、褒めるレベルを徐々に高めないと効果が薄れます。

③褒めないと相手は動かないわけですから、常に相手に指示や監視を続けなければなりません。一刻も早く、相手を勇気づけるように意識を変えることが大切です。

※これは当然逆のことも言えるはずです。褒められることを求めない生き方は、誰かの指示や監視を常に必
要とする生き方から、自分自身への内観と共感が、自在に活力を生み出せる生き方に変容できることを意味します。

どんな相手でも、感謝する材料を探す

こうした、他人からの評価を基準とした「褒める」から「勇気づけ」に変えるのはどうすればいいか?すぐ始められるひとつの方法が「感謝」です。

直接感謝の言葉を口にするのもいいですが、メールや手紙など、記録として残る方法で感謝を伝えると、何度も繰り返し読み返され、相手の中で感謝のメッセージが繰り返し再生される効果があります。

また、感謝には、自分が感謝すると、相手からも感謝されるというブーメラン効果があります。日本人は比較的、感謝を口にするのが苦手な傾向にあります。私たちはとっさに、ありがとうの代わりに「すみません」と言ってしまいがちです。ついつい「すみません」と言ってしまった時でも「ありがとうございます」のひと言を付け加えれば良いのです。

感謝以外の勇気づけの方法

●「ヨイ出し」

相手の長所に目を向けて、良い行為であると言葉に出して伝えることです。つまり「いいね!」を言葉で相手に伝えてあげることです。

●「結果が全て」という考えをやめる

同じ努力をしたからといって、いつも見える成果が得られるとは限りません。他者に勇気を与えられない人は、結果だけ見て相手を非難してしまいます。もしここでプロセスを重視できれば「ずいぶん努力しているね、工夫の後が見て取れるよ。」というような言葉をかけられます。

人間関係をダメにする「勇気くじき」

勇気づけとは性感帯の行為、「勇気くじき」は意外におおいのです。

①相手のダメなところばかりを指摘する
②減点主義で物事をとらえる
③高すぎるゴールを設定する
④失敗をとことん批判する
⑤お前のせいでだめになったと物事を一方的に決めつける

実は勇気くじきをしている人は、自分自身に勇気がない人、自身が無い人です。自分自身で困難を克服する活力がないので、他者を勇気づけすることもできず、他人を攻撃してしまいます。
※私の場合は、自分に困難が降りかかっていることを受容できないのだと思う
恐怖から自分を守ろうとして、攻撃的な態度に出てしまう訳です。勇気くじきをする人に出あったら、「この人は勇気がない人で恐れている人なんだ」と想ってみましょう。

「なぜなぜ攻撃」は嫌われる

なぜ?を何回か繰り返して、問題の本質に迫るという問題解決のノウハウを語る人がいますが、この本ではこれを明確に否定しています。

これをされた側は、何かをする意欲を削がれ、二度とチャレンジしようという気を起さなくなり、言われた方が苦手意識を持ち、最終的には大きな溝が生まれてしまうという理由です。

人間関係での失敗はチャレンジの証であり、私たちはそこから肯定的な価値をいくつも貢げ出すことができるからです。

他者の失敗に直面したときにも、受け入れることこそが、将来に対して建設的に行動できるような勇気づけを行いたいものだと主張します。

「今回は失敗だったけど、あんな難しい仕事に挑戦したけね」「キミは今回の失敗から何を学んだの?」「もう一度同じ失敗に遭遇したら、どんな点に気を付けたらいいと思う?」聞くならこういった風であれと。

「勇気づけ」とは違う6つのNGワード

次に、気づかずに使ってしまいがちな、勇気くじきの言葉遣いをチェックしてみましょう。

①「やればできる」

普段は本気でやっていない、というように響く場合、勇気くじきの言葉になってしまいます。

②「頑張って」

もう、頑張っているのにこれ以上どう頑張れというのか?というように捉えられてしまうことがあります。
「頑張っているね」「頑張ったね」結果を認めて子t場を書けるのは勇気づけになりますが「頑張ってね」は命令形なのでプレッシャーを与えてしまいます。

③「大丈夫」

慰めは褒めるよりも、根拠がないだけ罪深いでしょう。

④「素晴らしい」

何に対しても「素晴らしい」「素敵」を連発していると、次第によいしょしているように聞こえます。そうなると信頼感が失われてしまうでしょう。

⑤「羨ましい」

実は、羨ましいは祝福の言葉ではありません。嫉妬の感情を含んでいるからです。相手が喜んでいれば人間関係がダメになることは無いでしょうが、嫉妬から生まれた言葉は、勇気づけの言葉とは明らかに違います。また、嫉妬を肯定を自分にも相手にも植え付けることにもなりませません。

⑥「すみません」

すみませんはあくまで謝罪の言葉、感謝を伝えたい時には、正しく感謝の言葉を口にすることが勇気づけになります。

「共同の課題」を見つける

真の人間関係を築くには、まず、しっかり自分を肯定して、自分の課題と相手の課題を分離してください。切り分けて発想するだけで、気分がずっと楽になるはずです。そして、けん制付きな関係を作る為に、共同の課題を探してみましょう。

例えば、デートで相手が疲れているように見えたら、それが自分のせいなどと否定的に考えず、相手の体調に配慮して、あまり疲れないその日一日の過ごし方を提案するとか、何か手伝ってあげるとかいうのは、これからできる二人の共同の課題となります。

協力して、共同の課題を解決しようとすることで、ふたりの関係も深まります。

人間関係をこじらせないための「感情」のルール

すべての感情には「目的」から生まれる

普段私たちが抱いている感情は「陽性感情(プラスの感情)」「陰性感情(マイナスの感情)」の大きく二つに分類されます。

さらに、この二つの感情にはそれぞれ「現在」「過去」「未来」の三つの時間軸があります。

①現在の陽性感情

満足感・達成感・祝福感・ゆとり感・幸福感・充実感・親近感

②現在の陰性感情

怒り、恐怖、嫉妬、猜疑心、いらだち、悲しみ、混乱、羞恥

③過去の陽性感情

懐かしさ・許し

④過去の陰性感情

後悔・恨み

⑤未来の陽性感情

安心感・期待

⑥未来の陰性感情

怒り・不安

過去に対しての恨みと許し、未来に対しての不安と期待はそれぞれ表裏一体で、両者はめまぐるしく反転します。また、時間の経過によっても変化します。

アドラー心理学では、感情には目的があり、これはコントロールできるものだと考えます。感情が人を動かすのではなく、人が感情を使うと考えるのです。

感情のコントロールは

①思考によるコントロール

怒りには相手を支配して思い通りに動かそうとする目的があります。例えば、行列に割り込んできた人を怒りで注意して列の最後に並ばす場合、相手が華奢な20代の男の時と、2メートルの格闘家だった時、怒りのテンションは後者では下げる、というコントロールをとることが、私たちにはできます。

②行動によるコントロール

焦りという感情があります。テスト前一夜漬けて詰め込んで、これでいい点が取れるだろうか?と言う時焦ります。しっかり日々の予習復習をしていれば起き得なかった感情です。つまり、行動次第で感情もコントロールできるということになります。

人間関係がうまくいかない時の感情とは

あなたが苦手な相手がいる場合、その大きな要因のひとつに「劣等感」があります。劣等感とは、怒り、不安、焦り、恨み、嫉妬、羨望と言ったマイナスの感情を総称したものを指します。

劣等感は、他人と比較して、相手に競り負けていると思う事から抱きます。この劣等感の裏返しは何かと言うと、相手を同じくらいの地位にいたいという目標と現状のギャップに苦しんでしまっているのです。

こうした負けを認めるのを回避しようとする感情が「あの人は苦手だ」という距離感となって表れてしまうのです。

しかし、アドラー心理学では劣等感を消して否定していません。自分が相手に負けていると感じた時、私たちは二つの方向を目指すことができます。

ひとつは、相手と同じ領域で勝負すること。自分より出世している同期が羨ましいなら、追い越せるように努力すればいいのです。

もうひとつは、相手とは差別化した領域で頑張ることです。例えば、職場での出征は望まないけど、暖かい家庭を手に入れて幸せな生活を送るというのも一つの道でしょう。

つまり、アドラーは、劣等感は自分をより成長させるための発奮材料にもなる点に着目しているのです。

苦手な人がいるのも、他人に劣等感を持ってしまうのも、人として健全な心の働きです。相手に劣等感を持ってしまったら、適当な距離を取りながら、心の中のライバル視して自分を高めることは、とても有効な心の働きです。

仲良くなんてしなくていい

私たちは、次の二つの理由で、苦手な相手がいても、好きにならなければいけないと思い込んでしまうことがあります。

一つ目は、みんなと同じでなけでばならないと考えてしまう同調圧力です。二つ目は、みんなから好かれたい、誰からも嫌われたくないという承認欲求です。いづれもアドラー心理学からいうと、勇気くじきです。

人はそれぞれ違って当然なのですから、みんなと同じにしようとするのは、そもそも無理があります。あなたは、これまで生きてきた中で出会ったすべての人と仲良しだったことがあったでしょうか?人には相性の法則があり、自然に生きていても2割ぐらいの苦手な相手な人がいます。

本当に大切な友達には好かれたいと努力する、恋人には好かれたいと頑張る。それだけで十分なのです。

話すことが見つからない不安は、心の準備のサイン

苦手な人と一緒に仕事をすることを不安に感じる、あるいは営業などで初対面の人と会うことに不安を感じる、私たちは人とのかかわりで不安に思う機会があります。

こういった不安は、これから起こる未来に対しての感情です。不安という感情には、自分を守ったり、打開するため、行動に駆り立てようとしたりする役割があります。

人間関係でも、ある人と名は素のが、気が重くなるという不安は自分を守ろうとするサインです。その人と上手く話ができるように、心が準備を必要としたのです。

不安は人間関係を育てる

アメリカの墨子、ジョン・C・マクスウェルが「夢を実現する戦略ノート」にミシガン大学での不安の合理性について研究した結果が引用されています。

それによると、人間の不安のうち60%は根拠のない不安であるといいます。20%は過去のどうにもならないことへの不安、10%はまったく影響がない不安、5%は漠然とした不安です。

怒りうふコトの不安というのは、残りの5%に過ぎないというのです。

不安が必限する可能性は、極めて低いという事を、しっかりと心に留めておいてください。アドラー心理学とは、そうした根拠の感情に負けず、確実な目標を持って未来へと足を進めるための心理学なのです。

恨みの感情は第三者を通じてゆるめる

苦手な人から受けた、過去の仕打ちへの「恨み」というのは、相対的な強者への復讐したいという感情です。恨みの感情は果てしないレベルに達します。あなたは、上司や親などに恨みの感情を抱いていないでしょうか。恨みの感情を持つと、勇気がくじかれ、相手との関係も悪化しているので、二者間で解決するのはかなり困難になります。

〇嫉妬を感じたら、自分の安全基盤の再調査

嫉妬は、他者によって身近な人、または自分の権利が失われる時、疑いを持って他者、あるいは身近な人を排除するか、身近な人を繋ぎとめるために使われる感情です。

アドラーの弟子の中で一番優秀であった、ウォルター・ベラン・ウルフは嫉妬について次のように言及しています。

「嫉妬は愛という木に巻き付き、枝を枯らし、根までダメにする毒性のツタのようなものだ。それが生い茂ると、愛と愛する人は殺され、愛の対象を奴隷にし、それによって愛は不成立となる。それが衰えると両者に不幸がもたらされる。嫉妬は最も非人道的で、破壊的な感情の一つである。弱い人、憶病な人、無知の人の用いる道具であり、悲劇を招くだけで 何の 効果もない」

「愛は対等な者同士にしか成立しない。嫉妬は、嫉妬に駆られて見張られている人の価値を下げ、 その人を卑しめるものだ」

そして、嫉妬の対応策についてこうも言及しています。

「嫉妬を感じたら、自分の安全基盤は揺らいでいないか調べ てみるの だ」

信頼関係を作り直すことで、嫉妬心を乗り越えることが可能です。

「怒ることで何がしたいのか?」を自問する

怒りの感情で自分自身を見失いそうになったら、怒りの元になる一時感情を探ります。そして、例えば「寂しい」という一時感情に気づいたら、その感情を伝えてみるもの効果的です。

怒りに任せて言い合わそうと、次第にエスカレートして収拾がつかなくなります。争いと言う選択肢は、自分の意志で避けることができるのです。

自分の意志で「共同の課題」を解決しようとする建設的な対応を選択するか、そうでない、感情に任せた非建設的な対応を選択するのか、選ぶことができます。

孤独感は、他者への貢献で解消できる

孤独は自分自身の「安心感、所属感、信頼感」の三つが欠如していくことに伴う、居場所の無さを表した感情です。

孤独なのは、決して問題ではありません。孤独とは何かしらの所属を一時的に失っていいるだけであって、一人きりで誰の助けもなく、他者から遠く離れて孤立しているわけではないからです。

孤独であることが、その時間を使って世界観をより大きく広げるひとつのチャンスかもしれません、孤独もまた自分の居場所として、楽しんでしまうのも、人生の過ごし方です。

人を近づける笑顔の力

アドラー心理学では笑いを重視しています。笑うという感情には、人を近づける効果があります。お腹の底から笑うと、笑の感情が乗りうつり、ガードが緩み、人が近づき易くなります。

例えば、ジョークの練習をすると、深刻な悩みを抱えていられなくなります。自分を俯瞰することで「なんで、こんなことで真剣に悩んでいたんだろう」と気づくからです。

人間関係の苦しさもいつの間にか和らげることができます。

落ち込みたい時は思いっきり落ち込む

どうしても気持ちが落ち込んでしまった時は、無理に元気を装うのをやめ、落ち込む時間を作るのもひとつの方法です。笑える状況でない時は、いったんマイナスの感情に思い切り浸ってみます。

愚痴ったり泣いたりする時間を作ることで、自然と別の感情に向かうことができるものです。

後悔した過去との折り合い

人間関係での過去の失敗を公開している時、後悔するという感情は、現在の自分に対して何らかのメッセージを発しています。

過去にさかのぼって解決しようとする必要などありません。過去を鑑みて、現在と折り合いをつけることなのです。

例えば、過去に、人間関係で失敗したころはあった、しかし今は信頼できる友人もいる。決して間違った選択はしていなかった。

と言うように、辛い過去の体験も
乗り越えて生きていくことができます。

人との距離を縮めるアドラー流コミュニケーション

話す事よりも聴き上手に

アドラー心理学は「共同の課題」を見つけ、建設的な人間関係の構築を目指します。そのためにも、まずは相手尾ことを知る「聴き上手」になることがとても重要になります。

相手の関心を引き出す

人間関係は、お互いの共感と自己の開示をバランスよく成立させて初めてお互いの信頼関係が生まれます。

相手がオープンにしていない場合、自分が一方的に共感を示して、次から次に質問を繰り返していると、ただの詮索になってしまいます。

逆に、相手が自分の共感していないのに、一生懸命自分をオープンにした場合も、ただの自己顕示になってしまいます。

自慢話は「優越コンプレックス」の表れ

根底にある劣等感を解消するために、自分を出来るだけ大きく見せるような自己顕示を「優越コンプレックス」といいます。優越コンプレックスを持つ人は、3つのものを誇らしげに語る傾向があります。

①出身・家柄
②過去の能力
③人脈

優越コンプレックスの人は、誰に対しても苦手意識を抱かせてしまう傾向が高いです。もしも、周りに自慢話をする人がいたら「この人は、劣等感から優越コンプレックスを発揮しているんだ」と理解すると、それだけでも、ウンザリ感が軽減されます。

自己イメージを変えられてセルフトーク

セルフトークとは、自分が自分自身に対して言っている口癖やお呪い(自己暗示)のことです。これによって、アドラー心理学の基本である「まずは相手よりも
自分を変える」ことが実現できます。

・プラスのセルフトーク
「もう自分を許してもいい頃だ」
「必要なものは十分に備わっている」
「たまにはゆっくりしてもかまわないだろう」
「自分はとても良い運気に恵まれている」
「私には素晴らしい仲間たちがたくさんいる」

・勇気のセルフトーク
「私には他者に貢献する能力があり、
必要とされる価値がある。」

・マイナスのセルフトーク
「やっぱり歳には勝てないな」
「どうせ嫌われ者だから」
「他人の目が気になって仕方がない」
「どうせ誰も私の話を聞いてくれない」
「どうせいつもひとりぼっちだ」

人間関係を改善したい場合にも、まずはセルフトークをプラスにしてみましょう。その上で、他者に対して感謝の言葉を頻繁にかける癖をつけていきましょう。人間関係を変えるのは何と言っても言葉が一番です。

人間関係を悪化させる「三つの比較」

①過去との比較

「あの時は上手くできたのに、今回はこの程度かよ」

②他者の強みと本人の弱みの比較

「○○さんの方がもっとちゃんと仕事しているよ」

③理想と現実の比較

「期待していたのに、全然できてないな」

勇気くじきの言葉はたった一言でもそれまでの信頼関係を失うきっかけともなりますから、くれぐれも使わないように注意しましょう。

復讐行動は避けるべき下策

自分の主張を伝えなければならない時、相手に主張を伝える使え方には、4つのものの言い方があります。

①主張的行動

相手の要求を満たしながら、自分の要素も受け入れてもうらう行動

②非主張的行動

相手の立場や要求を尊村長して、自分の主張を抑える行動

③攻撃的行動

相手を傷つけても自分の要求を推し通そうとする行動

④復讐的行動

相手を傷つけた上で、自分の要求をあきらめる行動

一度でも服主敵行動をしてしまうと、相手との関係修復はほとんど困難なものになってしまいます。復讐的行動は最悪の結末を迎えます。

未来につなげるための落としどころを探る

人間関係において、何かを主張する時には、勝利か敗北かと、それだけという訳ではありません。時には勝ちを譲り、引き分けでもよしとしながら、関係を維持していくことが人間らしい智恵の働かせかたです。ベストでもアースとでもない落としどころの探り方を「メイク・ベター・アプローチ」といいます。

交渉では譲歩した最低の合格ラインを決めておく、目標は究極目標、達成目標、当面もう組豹など分割して、まずは当面のところからひとつひとつクリアしていくことです。

人間関係も、いきなり無二の親友を目指さなくてもいいのです。まずは協力してひとつの仕事を成し遂げる建設的なところから歩んでいきましょう。

断りにくい要求をされたらどうするのか

他者から、無理難題を言われた時や、嫌な要求を受けた時には「メイク・ベター・アプローチ」を思い出してください。

①相手を傷つけず頃割るのが、主張的な断り方

②相手を傷つけずに、相手の要求を受け入れるのが、非主張的な断り方

③相手を傷つけても断るのが、攻撃的な断り方

④相手を傷つけて、なおかつ最後には全面的に受け入れるのが、復讐的な断り方

イラっとしたときには逆に質問

勝ち負けへのこだわりを捨てると、人間関係などでも心に余裕が生まれ、面倒な揉め事を回避できるようになります。以下は、著者の高校時代、バスケ部の顧問と生徒の会話です。

生徒:「先生、月刊バスケとか、バスケの本読んだことはありませすか?」「バスケをやる生徒はみんな読んでいるけど、当然このくらいの本は読んでいますよね?」

先生:「へぇ、そんな本があるのか。どんな本か先生に教えてや」

すると、正とは得意げに説明を始めました。要するに自分には知識があるという事を、ひけらかしたかっただけでした。
ひとしきり生徒の話が終わると、先生はお礼を述べて話を打ち切りました。

先生:「ほんと詳しいなあ、ありがとう」

子供ながらに、その大人なリアクションをした先生をカッコイイと思ったそうです。

あえて挑発に乗ったり、議論をしたりしないで、相手に言いたい事を言わせてあげるつもりで、しっかり話を聞いてあげればよいのです。

注意は「目的」を相手に理解させる

人に注意を与えなければならない時は、その目的を設定してみます。

①相手の不適切な習慣や行動を改めさせる

②相手を一段上のレベルに成長させる

③やる気がない人にやる気を起こさせる

人に注意をあたえようとするときは、必ずこの目的を意識します。そして実際に注意する時は次のポイントに気を付けます

■1対1で注意する
みんながいる場所で注意すると相手の人格までもおとしめてしまいます。

■ある特定の部分に関してだけ、理性的に注意する
延滞として相手の良い部分を認めたうえで、部分的な問題点を注意します

■相手の意図を重視する
やむをえない事情などについて質問をする

■行動面にとどめ、人格にはふれない
人格攻撃はやめて、あくまで、好意だけに注目して周囲します

たとえ子供だろうと尊敬の念を忘れない

アドラーは遊んだおもちゃで部屋を散らかしていた子供に対して、こう言ったそうです。

「坊や、上手に散らかしたね。今度は上手に片づけられるかな。」

すつと、散らかっていたおもちゃは、瞬く間に片付いたそうです。

子供を一方的に𠮟りつけても、自分の言う事は聞き入れてくれません。子どもに対して、まるで尊敬をする友人のようにふるまうならば、子供はあなたの言う事を素直に聞くようになるでしょう。

自分と他社の権利は常に平等

アドラーは仲間の人間に関心を持つこと、全体の一部になること、人類の福利に出来るだけ貢献することを重視しました。

アドラー心理学の影響を受けた研究者たちは、権利と責任というものを追求うしてきました。「権利渡世人は表裏一体の関係」にあり、同じ価値を持っています。

もしも、あなたに人として生きる権利があるならば、あなたは相手を人として生かす責任があります。あなたに仲間に入れてもらう権利があるならば、あなたには相手を仲間に入れる責任があります。あなたに一人にしてもらう権利があれるならば、あなたに相手あ一人でいたいのを受け入れる責任があります。あなたに幸せになる権利があるならば、あなたには相手を幸せになることを尊重する責任があります。

習慣付けこそが、人間関係を変える源

習慣は、今この瞬間から変えられる

例えば、食事をする時、好きなモノから順番に食べるとか、反対に苦手なモノから食べる等、わたしたちは何らかの理由でいつの間にか、作られた習慣を維持しています。

一般に、習慣はパターン化した思考、感情に基づく行動であると
定義されます。心理学では、思考、感情、行動特性を総称して「性格(キャラクター)」と呼んでいて、いったん形成されたら変わりにくいものとしています。

しかし、アドラーは、思考や感情、行動といったものは性格ではなく、あくまでスタイルに過ぎないとし「ライフスタイル」と呼びました。このライフスタイルに基づいて、習慣は形成されています。

S・M・ロスという人が、「何歳ぐらいになったら、性格を変えるのには手遅れなのか」と、アドラーに尋ねた時、彼はこう答えました。

「死ぬ1.2日前かな」

良い人にならないための習慣付け

人を喜ばせる代わりに、自分は釣愛思いをしている人が、世の中にはたくさんいます。まだ記憶に新しい「電通過労死事件」など社会では、多くの方々が被害に遭っているのです。

良い人を続けていくと、自分が辛くなり、次第に周りの人も嫌な人に思えてきます。

大切なのは、間違った情動を起こしそうな瞬間をきちんと捉えることです。相手に便利に使われそうな瞬間に「あ、ごめんなさい。ちょっとできません」と、まずは口にする勇気をもって、しっかりと断ることから実践してください。

また、朝に「理不尽な頼み事はキッパリ断り、良い人をやめよう」決断し、夜に「今日は、テーマを持ってチャレンジできた。あの人の映夫人な頼み事も断ることができた」と祝福する習慣を持つと、必ず、行動が変わってくるでしょう。

自分だけ苦手な人をに留めるコツ

職場で「自分だけが苦手な人」がいたら、次の2つを実行してください。

①自分の価値観は絶対的ではないと認める

どんなに自分が相手を嫌っていたとしても、その相手を尊敬する人は必ずいます。まずはその事実を認めてください。無理に好きになろうとしなくて構いません。ただ「嫌っているのは皆ではない」と認めるだけです。

②その人のリソースを認めて活用する

嫌いな相手にも、リソース(知識・経験・スキル・お金・情報など)があります。それをきちんと認める必要があります。職場では、相手の人格を重んじるのではなく、むしろ、リソースを重んじるという割り切りの方が大切です。

参道はしないけれども、意見に耳を傾ける。そういう姿勢で人と接していくことで、人間関係の苦しみも強い咲くなってくるので、結果的に心に余裕が生まれ、精神的にも楽になっていきます。

加点主義発想の重要な3要素

人間関係がうまくいかない理由のひとつが減点主義です。一方的に自分の理想を相手に押し付け、それに反する行為を減点していくと、あっという間に相手に対する苦手意識が根付いてしまいます。

人と上手に付き合うには、加点主義の発想が絶対不可欠です。加点主義発想になるには、大きく分けて次の3つの要素が基本となります。

①共感する

共感とは、相手の目で見、相手の耳で聞き、相手の心で感じつことです。

②未来志向を持つ

相手に一方的な理想を押し付けると「出来ていないこと」が許せなくなります。

人は、一人ひとり目標を持っています。その上で、職場などでは共通す津目標を持って仕事をしています。今を出発点として未来の共通目標に目を向けると、相手の「出来たこと」を認めて評価できるようになります。

相手と同じペースで進みながら、一緒にゴールを目指すのが加点主義的な人間関係のあり方です。

③プロセスを重視します

結果でなくプロセスを重視すると、積み上げた一つ一つの実績を認められるようになります。

アドラーは「個人はただ社会的な、人間関係の文脈にあいてだけ個人となる」と言いました。

個人は孤立して存在しているのではなくて、仲間とともにあるという意味です。つまり、加点主義はアドラーが重んじた「仲間」という意識を持つことに繋がっています。

良い人間関係の5つのポイント

人間関係のベースにあるのは「尊敬」と「信頼」です。そして、相手に対する「共感」を忘れないようにしてください。その上で、お互いの価値観の違いを踏まえた上で、共通の目標に向けて「協力」関係を作っていきます。そこには、自分の常識による物差しで図るのでなく、相手の考え方や物事の見方を尊重する「寛容な心」が不可欠です。

もし、人間関係で上手くいかなかったら、必ず「尊敬」「信頼」「共感」「協力」「寛容」の5つのポイントに戻って、自己点検をしてみてください。

まとめ

幸せに生きる人は、シンプルな生き方をしています。わざわざ不幸になるような生き方をする人は、物事を複雑でネガティブに受け止めます。

このアンチテーゼっぽさを削いだアドラー心理学は、わたしにはよりシンプルに映りました。

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