知人のマウントをウザいなと思ったことはありませんか?
相手に言われた遠回しの自慢や、冗談交じりの否定が案外心に残ってしまうことがあります。
この記事では、アドラー心理学に基づいて、ウザいマウントがどうして起こるのか?を明らかにし、相手のマウンティングから免れる方法を解説します。
ウザいマウントの基本3パターン
遠回しの自慢
まずは、王道パターン。
自慢話は愛されないことは分かっているため、会話の中で遠回しにさりげなく、しかし、いちいち細かく「自分は上」だという会話を混ぜてきます。
微妙に混ぜられて、ん?ん??上から???とかなるヤツです。
何気ない卑下
第2のパターン。
遠回しの自慢とは逆に、さりげなく「あなたは下」だという会話を混ぜてくるパターンもありますね。
こちらが下げられるのは、最悪ですね。
意図的なマウンティング
明らかなマウンティングというパターンもあります。
お互いの意見がそれぞれに別れ、相手に譲らず、間を取ろうとすることもなく、自分を意見を押し通すため論破しようとする態度がハッキリと出ている時などが、これにあたります。
ウザいマウントはどうして起こるのか?
マウントの動機は劣等感
人は常に現状に甘んじない習性があり、現状の守りを固めるため不安になったり、現状より多くを目指して行こうとしたりするため、劣等感のない人はいません。
そして、その劣等感の克服のための向上心を持つのが健全な姿です。
しかし、そのための努力をする勇気を失ってしまい、この劣等感を安易に埋め合わせる態度を取ってしまう場合があります。
相手を尊重し合う関係においては、自慢話は無意味です。わざわざ自慢話やマウントをするのは、自分の劣等性を安易に隠し優越感を得ようとする心理です。これを劣等コンプレックスといいます。
また、中傷、告げ口、秘密の暴露などで、自分は何の努力もせず相手を落とすことで勝利する戦略を「価値低減傾向」といい、「神経症的」だとアドラーはいいます。
マウントという意味付け
マウンティングは、遠回しであったり、何気なくであったりする場合がほとんどです。実は、このハッキリしないもの対して「これはマウントだ!」と、自分自身がそう意味づけているというのも事実です。
そして本当に、相手にはそのつもりが全く無い場合もあります。ウザいマウントの正体は、自分自身の劣等感への過敏な反応だという可能性も極めて高くあるわけです。
共通の課題と縦の関係
時に、お互いに共有している課題において、相手が縦の関係を築こうとしていることがあります。
同じ遊びやゲームやスポーツ、もしくは仕事を一緒に楽しんでいる感覚です。
こちらがそれに参加する義務や必然がない流れの中では、はなはだ自分勝手な話ですが、相手は一緒にゲームを楽しんでいるつもりの場合があります。
マウントのウザさから免れる方法
正の注目をする
マウントがウザいと感じてしまうのは、劣等感を刺激されてしまっているからです。このネガティブな感情から脱出するには、少し心のガソリンが必要です。
自分を責め、ダメな自分に注目をする。これをアドラー心理学では「負の注目」と呼びます。
逆に、出来ていることに注目して、自分を認めることを「正の注目」と言い、これが自分への勇気づけ、心のガソリンになります。
朝、会社にいく。歯を磨く。時間内に会社に着く。おはようと挨拶をする。人の行動の95%は「できている」行動です。私たちは、たった5%「できていない」行動ばかりに注目して「できている」95%を無視しているのです。
人は勇気があれば困難を克服しようと、努力や学習、協調など「有益」な行動を選択します。でも、勇気が欠乏すると、困難から逃げ出し、より安易な道、他者への攻撃や他者のせいにする言い訳、さらには人間関係や困難からの逃避など「無益」な行動を選択してしまいます。
人は「自分自身に能力がある。自分には価値がある」そう思えた時に、困難を克服する活力「勇気」で満たされます。
もし、マウントされたことで弱っていたら、準備運動として、まずは「正の注目」を試してみてください。
縦横の関係のチェック
仕事やスポーツ等では、その人の機能価値が評価されます。機能価値は、人との比較、上下優劣、一定条件のもとで、課題を共有したもの同士が評価され「縦の関係」を築いていきます。
一方、人間ひとりひとりの存在を尊重していく価値は、誰もがひとりひとりが無条件に持っている「横の関係」の価値です。この存在価値を認めることができる人は、人の土台がしっかりしているので、些細なことで揺らぎません。
マウントする相手が、あなたとの何らかの共通の課題があると考えていて上下優劣をつけていることを、あなたがそのマウントをウザいと思うのは、あなたはそのゲームには参加していないからです。
もちろん、今から参戦することも選べます。楽しそうだと思うのであれば、乗っかってもいいと思います。
しかし、参戦する義務もなく、楽しめないことが分かっているなら、その勝負の世界からは、はっきり降りることが大切です。
自己受容
ネコとネコの挨拶は、鼻と鼻を「チョン」と合わせます。これは、心を許した相手にしかしない行為です。
ネコの目は、大きくてもろい弱点です。ネコの挨拶は、お互いの弱いところを相手の前にさらけ出す信頼のサインなのです。
私たちはつい、完璧であると愛されると考えてしまいます。しかし、実はそうでもありません。周囲から愛されている人は、意外に欠点が多く、完全無欠な人はかえって不人気です。
マウントされた欠点も含め、ありのままの自分を肯定的に受容することが賢い対応です。
※関連記事:自己受容できない人の特徴と原因、有効な対策と評価
欠点を乗り越える目的を持つ
つまり、欠点はチャームポイントともいえます。完璧を目指すより、完璧でないと知った上で、それを乗り越えていくことの方が大切です。
もしマウントされて気づかされた自分の欠点があるのなら、それを乗り越えるという目標を新たにひとつ掲げることも有益です。
まとめ
マウンティングが100%の悪ではありません。
実際、ゲームやスポーツ、もしくは仕事には、
マウンティング合戦の側面があります。
しかし、そこは正々堂々フェアプレイで
お互いの能力を切磋琢磨しつつ、
基本ベースでは、人それぞれを尊重し合いたいですね。
劣等感の無い人はいません。
欠点はチャームポイントとして生かしながら、
それぞれが乗り越えていく。
こんなことを心に留めておいてください。
「ウザいマウントはどうして起こるの?その理由と対処法」
※参考文献
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