この記事では、優越コンプレックスとは何か?優越コンプレックスに陥る人の特徴や具体例、克服の方法を、アドラー心理学を根拠に解説していきます。
優越コンプレックスとは
まずコンプレックスとは
精神分析で、感情の複合を意味します。抑えつけられたまま無意識の中へ保存されていた感情が、現実の意識に反する感情として首をもたげ、混じり込んでくるわけです。
無意識に発動するこの感情は、それだけ、心に深く刷り込まれ、習慣化されているため、根深くてパワフルです。それが現実の意識と反する行為へ背中を押すわけです。
さらに劣等コンプレックスとは
劣等感に苛まれているというのは、多くはこの状態ではないでしょうか。
一般に劣等感という言葉は、劣等コンプレックスの意味で使われますが、正確には、単に自分に劣等性があると意味づけただけの劣等感と、これをいい訳にして問題を起している劣等コンプレックスは別ものです。
例えば「お金を稼ぎたいけど、稼げない。根性がないから。」なんていう時には、
根性がないというネガティブを引き取って、さらに、自分はお金を稼げなくても仕方がない、という、自分に甚だ残念な文脈を語っている訳です。
これは、お金を稼ぐことの努力と学習から逃げている訳です。これをそそのかしているは、報われないまま抑え込まれ無意識の中に保存された努力と学習に対するネガティブな感情です。
勉強しろ勉強しろ!と親に言われ続けて辛かったのか、塾講師に辛いダメ出しをされた悔しさなのか、努力の甲斐なく受験に失敗した悲しさなのか、就活に失敗した敗北感なのか…。正体はなんらかの過去の記憶にまつわる癒されないままのネガティブな感情です。
「○○だから○○できない。」
こんな風に劣等感を言い訳にしだしたら、過去のネガティブの正体を探ってみるといいかもしれません。
そして優越コンプレックスとは
本当は劣等感を抱えているのにも関わらず、それを認めようろせず能力があるフリをします。これが優越コンプレックスです。実際は努力をしていないので主張するような能力は持っていないのですが。
例えば「お金を稼ぎたいと思えば、爆速で稼げる。根性させ出せば簡単さ。」なんていう時には、
根性を出していないだけだと言って劣等感を隠して、さらに、自分はお金を稼ぎたいとは思っていないかのごとく、甚だ巧妙な文脈で嘘を語っている訳です。
これも前述と同様に、お金を稼ぐことの努力と学習から逃げている訳で、やはり、報われないまま抑え込まれ無意識の中に保存された努力と学習に対するネガティブな感情に振り回されている訳です。
正体は、劣等コンプレックスと全く同様に、なんらかの過去の記憶にまつわる癒されないままのネガティブな感情です。
「○○してれば○○できた。」
こんな風に嘘っぽいことを吹き出したら、過去のネガティブの正体を探ってみるといいかもしれません。
優越コンプレックスとは、劣等感を隠すために自分を強く、偉く、立派に「見せかける」こと。本当は背が低いのに、つま先立ちで大きいふりをすること
ーアルフレッド・アドラー「一瞬で変わる100の言葉」よりー
優越コンプレックスの人の特徴
優越コンプレックには様々なバリエーションが豊富です。
自慢する
「有名人と知り合い」「親の血筋」「お金や土地や高級車」「自分の成績の良さ」「偉そうで大きい態度」「躊躇なく上座に座る」「特別扱いを当然のように要求」…。
自慢、ごう慢、自惚れは優越コンプレックスの典型的な症状です。
変わったことをやって目立とうとする
「派手な服装」「流行遅れの服装」「汚れた服装」「不作法」「なれなれしさ」「英雄崇拝」「背の低い人や弱い人、病気の人へ命令する」「他の人をおとしめる」「批判する」「不平を言う」「大きな声で笑う」「取るに足らない機会に興奮する」「感情的になる」「人の話を聞き流す」「目をそらす」「会話を自分の方に向ける」「自分の特徴を強調する」「目立つために妨害をする」「わざと罰せられる」「見栄っ張りで紳士気取りの俗物」「あえて危険に飛び込む蛮勇」などなど
あらゆる手を変え品を変え。
ジゴロ・ドンファン・峰不二子
女を泣かせるジゴロ、ドンファン。美女を口説くことに情熱を燃やす男。そんな男を操る女。人は愛さえも優越性追求の道具に利用します。
他人の不幸は蜜の味だという
自分を高めるのではなく、自分は何の努力おせず、相手をおとしめることで勝者になろうとすることを「価値低減傾向」と言います。
相手の悪口を言い、秘密を暴露。悪意を込めて、相手の品位を下げようとたくらみます。
評論家
人の欠点を的確に指摘し、痛烈に批判するのも優越コンプレックスです。
人の輪に入らずポツンと孤立する
自分は他者とは違い、特別高級な人間だと主張することで劣等感を隠します。
不幸自慢をする
不運であること、不幸であることは、ある種の人達にとって十分に自慢の種となります。悲劇のヒーロー&ヒロインに自分を仕立てます。
優越コンプレックスの克服
潜在意識の中から発動される現状を混乱させる感情なので、これがコンプレックスだと気が付きにくいのが厄介です。
わけのわからない自分の感情を分離して排除しようにも、根深く刷り込まれた感情はなかなか大人しくしてはくれません。
でも、安心してください、大丈夫です。
コンプレックスとはそういうものだという知識を持てば、対処できます。潜在意識で邪魔する感情もあなた自身です。決してあなたにとって悪いことをしようとしている訳ではありません。
あなたを心配してくれているだけです。それは痛い目に合うからやめておけ!と忠告してくれているだけです。
しっかり受容して、場合により、痛い目に合わないように、知識を得るとか、リスクを小さく行動するとか、痛い目のあったらすぐ取れる対応を準備するとかいうことで、それなりの対処になります。
優越コンプレックスの具体事例
以下は、わたしのアカウントでやり取りです。
お相手は自称IQ160はくだらないという若者ですが、自己肯定感を身に着けたいのだという悩みを語っていました。
高IQというレアケースではありますが、その内容は、典型的な優越コンプレックスに悩んでいるケースでした。
質問
自己肯定感を身に着けたいのですが、ケースが特殊なようで方法が見つけられません。
自分のIQが低くとも160は軽く超えていると分かっている者です。(精神科で手軽に測れるテストの中では上限値)
親から虐待を受けていたことがきっかけで成人する年に親にバレないよう起業し数ヶ月でアフィリエイトにて月100万を達成、誕生日と共に親から離れおよそ3ヶ月の勉強のみで東大理一に合格しました。
しかしながら、どうしても「自分は才能があるからこれぐらい当然」「まだ才能を活かせる」「世間で天才とちやほやされる人達よりも天才のはずだ」という意識が心の中で深く残っています。
自分が無意識のうちに、実績以上にちやほやされたがっているのは分かっているのですが、恐らくこれ以上実績があっても「自分には才能があるから」で全て片付けられるのではないか考えてしまうと思いますし、そもそもこれ以上無駄に実績を増やすのは嫌です。
しかし、自分を肯定してくれる人とばかり一緒にいるのでは本質から逃げている気がして自分が嫌になったり、そうならなくても「褒められて当然」と考えてしまいます。
どうにかして、少なくとも確実に才能はあるという現実から逃げずに自分の才能と実績を正当に自己評価する方法はありませんでしょうか。
回答
今の実績は、アフィリエイトで月100万の人。これが正当な評価なんだと思います。
これ以上、実績は欲しくないということですが、その時に、わたしは才能があるので、これくらい当たり前、努力をすれば自分は月収1000万は軽くいけたけどね。とか思うのであるとすれば、それは、優越コンプレックスです。
単に強いふりをしているだけ、人生の嘘、実際に努力をしていませんから、決して強い訳ではないのです。
もし、優越コンプレックスだとすれば、そのことを肯定的に受け入れて、今後を建設的に考える、ということをされればよいのではないでしょうか。
回答に対して
なるほど…
今一番知りたかった情報のある回答でした。
本当にありがとうございました!
とても参考になりました。
素晴らしい回答をありがとうございました!
おしまいに
優越コンプレックスは、努力をしないので、いつまでたっても優れた人になることはできません。
また、人の目と評価ばかりを気にするので、強い緊張感が続き、挙動は不自然です。
ごまかしにエネルギーを奪われるため、くたびれてしまいます。さらに、いつも強がる態度に対人関係の衝突を繰り返します。
優越コンプレックスに気づいたら克服に努めましょう。
尚、前述のディスカッションですが、本来ならもう一言、その才能を生かしてどうちゃらこうちゃら…みたいなことを書きかけたののですが、IQ160越えの大天才に怖くて余計なことは答えらないと慌ててディレートしました次第です(笑)
「優越コンプレックスとは何か?特徴と克服法と具体例」
※参考書籍
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