小倉広 著「アルフレット・アドラー 一瞬で自分が変わる100の言葉」要約

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変わりたいというのは、進歩したい、成長したいということであり、心が健全な証です。

私たちは常に進歩、成長を求められます。なぜなら、人生の課題から、次々と困難を突き付けられるからです。私たちは歳を重ねるごとに、常に進歩し、成長し、変わり続けなければならないのです。

アドラー心理学では、劣等感を言い訳にして「人生の解決課題を避ける」ことを「コンプレックス」と呼びます。

アドラーは今から百年前に、「自分を変える」方法を明確に示しました。それは、自分の性格のクセに気づき、性格を作り直すことです。アドラーは、性格はいつでも変えることができる、死ぬ一日か二日前まで可能だと考えました。

この本は、100のアドラーの名言を章ごとに順序だてて呼んでいくうちに、いつの間にか自分を変える方法が習得されるようになっています。

この記事では、全8章からなる本書の各章ごとで最初に紹介されている8つの名言とこの解説で要約としていきます。

「劣等感」と「優越性追求」について

人間であるということは劣等感をもつということである。

人が劣等感を持つ明確なメカニズムがあり、誰もが劣等感を持つ理由は次の二つです。

一つ目は「幼少期の刷り込み」から起こります。子どもは誰もが小さく無力です。子供はいつも、大人に対して無力感を感じます。知らず知らずのうちに劣等感を刷り込まれる。これが一つ目の理由です。

二つ目の理由は「誰もが高い目標を掲げる」ことから起こります。私たちが掲げる理想は常に現状より上にあります。ですから、常に私たちの理想は未達成。これが、劣等感を生む二つ目の理由です。

「優越コンプレックス」について

優越コンプレックスとは、劣等感を隠すために自分を強く、偉く、立派に「見せかける」こと。
本当は背が低いのに、つま先立ちで大きいふりをすること。

優越コンプレックスの人は、何の努力もしないのですから、当然ながら、いつまで立っても優れた人になることはできません。

また、このごまかしは、ありとあらゆる面で自分の精神をむしばみます。

人の目と評価ばかりを気にしているので、強い緊張が続き、挙動は不自然。ごまかしにエネルギーを奪われ、本来の課題解決ができなくなり、くたびれ果てます。

さらには、いつも強がりばかりで、対人関係の衝突を繰り返します。

ごまかしによる課題解決の先延ばしをやめて、立ち向かう道を選びたいものです。

「劣等コンプレックス」について

劣等コンプレックスとは、弱さを言い訳にして本来なすべきことから逃げること。人生の嘘である。見せかけの因果律である。

劣等コンプレックスとは「強い劣等感を原因として『これ以上知パイしたくない。傷つきたくない』と、できない言い訳を探してひけらかし、課題への取り組みを避けること」です。

劣等コンプレックスを用いると、確かに目の前の課題から一時的に逃げることはできます。しかし、逃げても課題はなくなりません。

また、いずれ同じ課題が立ちふさがります。幸せになるのはただひとつ。課題から逃げずに立ち向かうことなのです。

「勇気」について

勇気とは「自分には能力があり、価値がある」と思える感覚。

人生は、思い通りにならないことばかりです。しかし、ごまかしでしかないコンプレックスに逃げても、何も解決しません。

劣等感はますます肥大化し、問題はこじれるばかり。逃げずに立ち向かいしかありません。では、どうすればいいのか?

アドラーは「勇気」を持て、といいました。

「私は、自分に価値があると思えるときだけ勇気を持てる。そして、そう思えるのは、私の行動が共同体に有益であると思えるときだけである」と言いました。

「共同体感覚」について

共同体感覚とは、他者を助け喜ばせることに、喜びを感じる心。

奪うことよりも与えることに、喜びを感じる心。

人が幸福に生きるためには、勇気とともにこの共同体感覚が必要です。

共同体感覚がある人は「姿を見せただけで、その快活さに人々は生きる喜びを感じ、そして、彼(彼女)に対して直感的に好感を持つ」とアドラーはいいます。

また、共同体感覚を持っている人は、実際に貢献行動を起こします。そしてそれ以前に、存在それ自体で「生きる喜びと人生の美しさ」を他者に伝え、利益をもたらすといいます。

「感情」について

私たちは「感情」という得体のしれないものに支配されているのではない。自分の向かう方向や態度に自信がないとき、感情を創り出し、自分の背中を押しているのだ。

「もしも人間に感情がなければ、誰一人結婚する人はいないだろう。」アドラー派の人達が良く語るジョークです。

感情は、自分自身が自分の背中を押すために、自分で作りだし、自分で使っているのです。

怒りという謎の感情に踊らされて怒鳴ってしまうのではありません。

「人は性格(ライフスタイル)に沿って行動する。しかし、それがコモンセンス(共通感覚)とずれたているときに、自分の性格(私的感覚としてのライフスタイル)を押し通すために感情を創り出し、利用する」。とアドラーは言いました。

行動=性格(方向性)×感情(推進力)。感情とは自分の感覚を貫くための行動の増幅装置と言えるのかもしれません。

衝動的行動を感情のせいにしてはいけません。自分で創り出したものなのです。

「勇気づけ」について

「勇気づけ」とは、「自分は貢献する能力があり、価値がある」と

相手が思えるようになるための働きかけのすべて。

勇気づけの代表的な行動は、相手の「貢献」に「感謝」を伝えることです。「ありがとう」「助かったよ」という事です。

言葉をかけられた相手は「貢献できた」「必要とされている」と感じます。それが勇気づけです。

勇気づけは、言葉だけでなく、相手が「自分には能力があり価値がある」と思える働きかけのすべてです。

「自己変革」について

音楽でも、ダンスでも、何でもいい。「上手にできた」という体験を、ただひとつ作ること。

その体験が「他のことも、きっとできる」へつながる。

「ひとつのことにうまくいけば、他のこともうまくいくものである。これは教育にも人生の他の面についても当てはまる。」とアドラーは言いました。

最初から難しいことに挑戦する必要はありません。自分の苦手なことをやる必要もありません。人それぞれ、誰もが持っている、興味がある好きなことにチャレンジすればいいのです。そこで自信を身に付ける。それが一番大切です。

「できると思うがゆえにできる」その第一歩を作るのです。

おしまいに

この記事では、全8章からなる本書の最初で取り上げられる名言を解説で要約としました。

この本では、各章ごとに関連する十数個のアドラーの名言を取り上げつつ、各章のテーマごとに更に深く掘り下げていきます。

おしまいに、この本の一番最後100番目の名言でしめくくります。

環境があなたをつくる。そして、あなたが環境をつくる。

ーあなたが変われば、世界が変わる。ー

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