自分らしさってなんだ? Ⅳ.「あなたらしくが難しい訳」

ライフスタイル

「今の仕事や生活は、自分を活かしきれているのかな?」
「もっと自分が夢中になれるコトは無いのかな?」
「ブレずに自分軸で生きるにはどうしたらいいのかな?」

今の仕事や生活で様々な課題に向き合いながら、解消していく中で、本来の自分の力が出し切れていないような漠然とした悩みを持ったりしないでしょうか。

つまり、自分らしさとは何でしたっけ?という問題です。

まず、

それには「ありのままの自分を肯定的に受け入れる(自己受容)」ことを習慣に取り入れてください。ありのままの自分を肯定的に生きることが、あなたらしい人生、そのものです。
※詳細記事:自分らしさってなんだ? Ⅰ.「自分らしく生きる方法」

また、

何かに挑戦したい自分と、それを拒絶する自分とで、葛藤した時には、その二人の自分の共通の目的を内観して統合してみてください。そこには、力強くあなたらしく生きるために重要なポイントが隠されています。
※詳細記事:自分らしさってなんだ? Ⅱ.「自分らしく生きる極意」

さらに、

自己受容で認知されたあなたらしさを、十分に使いこなすには、精神的な自立をすることと、あなたの環境の自由を保つこと、これでコントロールが可能です。
※関連記事:自分らしさってなんだ? Ⅲ.「自分らしさのコントロール」

そして、

この記事では、ただ「自分らしく」ということなのに、どうして、このある程度のややこしさがあるのか?その理由を解説してみます。

これを知ることで、超えるべきハードルが明らかになるので、自分らしく生きるため、役に立つと思います。

では、本題です。

自分らしさの出来上がり方

アドラー心理学では性格、気質、世界観、人生観まで含めて、あなたらしさのことを「ライフスタイル」と呼びます。

このあなたらしさは、家庭環境の影響は大きく関わります。また、心理学の研究では、遺伝もこの性格に影響することが分かっています。

しかしです。

同じような環境で育った人が、似たような性格になるとは限りません。また、一卵性双生児による実験でも、性格への遺伝による影響は大きいのですが、まさか100%一致するわけでは決してありません。

つまり、これらはすべてあなたにに与えられた前提条件です。この条件を受けて、自分自身がどう生きていくかを最終的に選び取ったのは、あなたです。

このあなたらしさは、だいたい10歳くらいまでに、決まるものだと言われています。

おそらく人間は、人の心理に無頓着です。ですから、これを目を向けずそのまま放置すれば、10歳の頃に決めた自分らしさは、そのまま使い込まれて、更新されることなく一生を終えます。

しかし、人の心理に目を向け、努力をすれば、人生を終える1~2日前まで、人は変われるとアドラーは言ったそうです。

ただ、このあなたらしさを変えるには、それまで生きてきた半分の年月がかかるということも語ったそうです。

ただ、いずれにしても、あなたらしさとはどういうものなのか、ここに目を向けることはたいへん有益です。また、この内観が少しずつあなたをあなたの都合のいい方に変えていってくれるはずです。

あなたらしさは、あなたが創ったものだからです。

兄弟順位の傾向

アドラーが、その「傾向」として、兄弟順位の次のような傾向を語りました。兄弟順位も、あなたがあなたらしさを築くにあたっての、ひとつの前提要件だったかもしれません。

第一子

親の愛を独り占めしていた第一子は、弟や妹の誕生によって、その地位から転落します。この挫折と上手く折り合いを付けられない第一子は、いつか自分が再び権力の座に返り咲くべきだと考え、保守的な、未来について悲観的なライフスタイルを形成していきます。

一方、弟や妹が生まれた時、すでに協力や援助についての教育を受けていれば、第一子は優れたリーダーになります。

第二子以降に生まれた子供

親を「独り占め」する経験を持ちません。常に先を行くライバルがいて、多くの場合が競争関係に置かれます。

第二子の根底には「追いつきたい」との思いがあります。兄や姉に追いつき、追い越し、征服したいとさえ目論んでいます。法の支配を重んじる保守的な第一子と違って、誕生順位という自然法則さえ、覆したいと願っています。

ゆえに、第二子は、革命を志向します。

末っ子

家族のほかの者とまったく違った道を選ぶ。もしも科学者の過程であれば、音楽家や商人になるだろう。いつも他の人とは違っていなければならないのです。

一人っ子

ライバルとなる兄弟がいない一人っ子は、父親がライバルになります。母親の愛を独占したいと願うあまり、父親をライバル視してしまう。いわゆるマザーコンプレックスを発達させやすい環境にあります。

わたしたちが持っているはずのヤバイ傾向

「叱ってもいけない、褒めてもいけない。」

アドラーの教えにのっとれば、叱ること、褒めることはやっちゃいけない上から目線です。

賞罰教育では、劣等感を刺激されると反射的に怒る人や、劣等感を隠すためいつも自慢する人や、上から目線の人に育ててしまいます。

本来であれば、相手を尊重し、感謝をし、勇気づけることで、劣等感を建設的は方向に超克する人を育てなければなりません。

賞罰教育で評価された人の課題に立ち向かう勇気がくじかれてしまうのです。

しかしです。

わたしたちの多くがが受けてきた教育は賞罰教育そのものです。日本の教育にはその傾向が著しく高いと言われています。

そうです。

わたしたちは、もうたっぷりと賞罰教育の影響を受けきってしまっているのです。

常に他者の期待を満たすことを教えられ、他社からの評価におびえ、自分が自分であることを抑えている傾向は、かなり強いはずです。

あなたらしく生きるためには、このことも与えられた条件として念頭に置いておくべきです。

インナーチャイルド

アルコール依存症の親の元で育ち、成人した人を指す言葉「アダルトチルドレン」は1970年代アメリカで、ケースワーカーや依存症者の間でジャーゴンとして使われるようになったものです。

日本では、意味が拡大され、自己のアイデンティティの不安定さやある種の「生きにくさ」を感じる人、PTSD(心的外傷ストレス性障害)に悩む人を指すようになっています。

アダルトチルドレンが演じる人格インナーチャイルドは、おおよそ「5つのタイプ」に分類されます。

この5タイプのアダルトチルドレンの性格も、場合によっては自分を内観する際に役立つかもしれません。

ヒーロー(英雄)

勉強やスポーツで良い評価を得る。しっかり者や努力家に見られるように頑張るなど、社会的な評価を得るような人格を演じることで、親に愛されようとする。または、家族に光、希望を与えようとするタイプです。

そのため、自分の中にある社会的な評価を得られない自分を、無能な自分、劣等な自分として否定、排除します。

スケープゴート(問題児・生贄)

悪い成績を取ったり、問題行動を起こして「悪者」の人格を演じることで、夫婦喧嘩や家族間の争いなど、家族の不満や鬱憤を全て引き受け、自虐によって、家族を平和に導こうとするタイプです。

スケープゴートの子供は、無能で悪い人格を、演じる必要があるため、善人の自分、優秀な自分、信頼される自分、幸せな自分を、否定、排除します。

ロスト・チャイルド(迷子・家なき子)

存在しない子供という人格を演じ、親の手を煩わせないよう生きることで、愛されようとするタイプです。

子供に無関心で育児放棄、ネグレクトをする親だったり、言語&非言語を通して、子供を邪魔者扱いする親のもとで育った場合、演じられやすい人格です。

加えて、ロスト・チャイルドは、逆に「過干渉の親」のもとで育った場合でも、演じられやすい人格です。

親の価値観を一方的に押し付けられる、そんな状況を受け入れるために「自分の存在」を、消す必要があるからです。

ロスト・チャイルドの子供は、自分の思いや感情を、素直に表現すること。つまり、甘える自分、わかがまを言う自分、自己主張する自分、目立つ自分などを、否定、排除します。

ケアテイカー(世話役・殉教者)

家族の世話、家族を支える人格を演じることで、親に必要としてもらい、愛されようとするタイプです。

親が親の役割を十分に果たさず、家族の機能が保ちにくい状況、家族が崩壊しやすい状況の中、ケアテイカーは「自己犠牲」のもと、親の代わりに働いたり、兄弟を育てるなど、家族の機能を懸命に維持しようとします。

ケアテイカーの子供は、人の役に立たない自分や、人から必要とされない自分を否定し、排除しています。

ピエロ(道化師)

家族の険悪な雰囲気を解消するため、おどけたり冗談を言う「ひょうきん者の人格」を演じることで、愛されようとするタイプです。
しかし、常に人の表情を伺い、場の空気を壊さないことばかりを考えているため、内心はソワソワ、ビクビクしている傾向にあります。

ピエロの子供は、争いや対立、場の空気を壊すことを異常に恐れているため、怒る自分、寂しい自分、孤独な自分、恐れている自分など、自分のネガティブな思いや感情を素直に表現する自分を否定、排除しています。

コンプレックスとの戦い方

賞罰教育に毒されたわたしたちは、「有能だと褒められる、無能だと叱られる」という二元論が心に沁みついているかもしれません。

劣等感を刺激されると反射的にイラついたり、劣等感を隠すためいつも自慢したりや、上から目線になったりしていないでしょうか?

例えば「いじめにあうから学校行けない」この「AだからBできない」ということを多用するようになるのは劣等コンプレックスです。

また、「いじめに合わなければ、優秀な学校へ行けた」つまり、「AのフリしてBのフリする」ことを優越コンプレックスと言います。

どちらも、失敗で傷つくことを怖がって努力から逃げる態度です。マインドとしては、ヒーロータイプのインナーチャイルドです。

私たちには、かなり多いタイプだと類推できます。

「AだからBできない」と思った時は、
Aの叶わぬ目的に加えて、Bの隠れた目的を内観して、A+B目的の統合し、解決の方法を引き出すようにします。

こうすることで、わたしたちのインナーチャイルドを与えられた条件として受容して、前を向くことができると思います。

この例を3つ程、挙げておきます。

いじめにあうから学校行けない

(叶わぬ目的)学校に行きたい
(隠れた目的)傷つくくらいなら学校行かない
(目的の統合)良い対人関係を求めている
(解決の方法)かわし方の技術を磨く、いっそ開き直っていじめられる

赤面症だから告白できない

(叶わぬ目的)告白したい
(隠れた目的)傷つくくらいなら告白したくない
(目的の統合)緊張しない対人関係を求めている
(解決の方法)緊張しない方法を探す、いっそかわいく赤面する、

根性ないから立派になれない

(叶わぬ目的)立派になりたい
(隠れた目的)傷つくくらいなら立派になりたくない
(目的の統合)効率的な成功プロセスを求めている
(解決の方法)成功プロセスの研究をする、楽しい努力をする

おしまいに

いかがでしたでしょうか。

あなたらしく生きることが、なかなかにややこしい訳をこれでもかとばかりに上げてしまいました。

しかし、これらだけであなたらしさが決まるわけではなく、これらを与えられた要件として、さて、そうしますかと、実際に判断を下すのは、事実、あなた自身です。

次は、もう少しポジティブな記事を書きます。

では、また。

『自分らしさってなんだ? Ⅳ.「あなたらしくが難しい訳」』
※参考書籍

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