アドラーはどこまで承認欲求を否定するんだろう?

承認欲求

アドラー心理学には一定の理解を示すものの、承認欲求の否定については、「それは無理です、私は承認欲求は強いです。」という人結構知っています。

この記事には、今更、承認欲求を否定しろと言われても無理じゃね?と感じる相談者さんが登場します。

この彼と一緒に、承認欲求の否定について考えます。

結論から言うと、未来も今ここで、つくられている、そのことに注目することにしました。

アドラーはどこまで承認欲求を否定するんだろう?

質問

承認欲求を否定するのがアドラー心理学の基本ですが、
例えば、アドラー心理学を啓蒙している小説家が芥川賞とかの賞を取った場合も、喜ばないのですか?

他人からの評価が仕事のアイドルとか芸能人には、アドラー心理学は、向かないのですか?

承認欲求の否定って、日本人には向いて無いと思いませんか?

今までさんざんぱら、褒めて伸ばすって啓蒙されてきて、いきなり、このメソッドがきたら、どうすりゃいいの?ってなりませんか?

回答

「嫌われる勇気」が日本で200万部もが売れているのは何故でしょか?

今の日本で言えば、拡大経済に限界が来て、年功序列や終身雇用の神話が崩れて、情報革命が5年や10年で今までの常識を覆す中で、問題を抱えてしまった様々な人達が、課題解決の心理学としてこれを必要としたのだと私は思っています。

だとすると、承認欲求の否定とは何でしょう。

これは、アドラー心理学で課題解決する時のスタート地点での肝です。いかに課題を整理するか?というフェーズで、自分が解決すべきことと自分ではどうすることもできないことを切り離していく『課題の分離』必要なのが承認欲求の否定です。これで人生全部を語ろうとしている訳では決してないのです。

では、小説家やアイドルたちはアドラー心理学を使えるのでしょうか。

もちろん使えると思います。承認欲求から解放されて、自由になって、自分がやるべきことを明確にして、それでゴールである『共同体感覚(仲間に貢献できている感覚)』を味わいなさい。そうしたら、その時から早速、これこそが幸福、これだけが幸福だという実感が持てるよ、ということだと思います。

芥川賞や一流アイドルになる途中のプロセスからもう幸福なんだよ?旅はなんで楽しいの?目的地に到着するまでの瞬間瞬間が楽しいんだよね?それが人生よ、点の連続、今に集中するだけよ、未来の結果なんてあとからついてくるものなのだから、ということなんだと思います。

どうでしょうか。

回答に対して

たしかに、そうです!同意します。
本には、そのようにしっかり書いてあるのに、理解できてませんでした。
よく分かりました、どうもありがとうございました。

承認欲求の否定の解説

「嫌われる勇気」が語るように、これは賞罰教育の影響なのでしょうか。承認欲求を消せ!という話を飲み込むのには本当に勇気がいるようです。

「嫌われる勇気」では、哲人のものの言い方もまたエッジが立っています。

他者から承認される必要などありません。むしろ、承認を求めてはいけない。ここは強くいっておかなければなりません。

「嫌われる勇気」より

それよりも、「幸せになる勇気」で語られた次の言い方の方が、理解されやすいと私は思います。

ほめられることでしか幸せを実感できない人は、人生の最後まで「もっとほめられること」を求めます。(中略)他者からの承認を求めるのではなく、自らの意志で、自らを承認するしかないでしょう。

「幸せになる勇気」より

自分で承認するという対処が語られているからですかね、少し優しく感じます。

そして、こちらの言い方だと、自己受容に直結していきます。自己受容、自己信頼とは、今、一般的に言われる自己肯定感のことです。

たしかに、承認欲求の高い人は、自己肯定感が低いと思われます。これへの対処が、この自己承認だと思います。

実際すぐにできるかどうかは別として、「幸せいなる勇気」のこの説明の方が理解はされやすいのではないでしょうか。

「嫌われる勇気」を読んでいいて、「幸せになる勇気」を読んでいない人には、是非、両方を読むようにお勧めしたいです。

アドラー心理学「嫌われる勇気」の要約はこちらへ

完結編「幸せになる勇気」の要約はこちらへどうぞ

解説のやさしさでいうとこの一冊

もっと優しい伝え方で言うと、獣医師 でアドラー心理学会認定カウンセラーでもある宿南 章さんの著書『ニャンと簡単に身につく!心が休まる「アドラー心理学」 』こちらもおススメです。

こちらはネコに学ぶアドラーで、もっとラクに生きましょう、というコンセプトです。

例えば、ネコはわがままで空気が読めないのかと思われがちですが、それは誤解です。実は、ネコは空気をあえて裏切っています。

そんな気配は微塵も感じさせませんが、ネコは人間の言ったことはほとんどわかっています。だけど、マイペース、マイルール。気づかない振りからの敢えての無視です。これは「自分の思考や行動を相手に悟らせない」ことがネコの強みだからです。

ネコ科の動物は狩りで、まるで獲物に気づかない振りをして、その後、急に飛びかかる、という方法を得意としますが、どうやらここからきているそうです。

気ままなツンデレもきっとこういうところからきているんでしょうね。「嫌われる勇気」のことを本書では「空気を読まない勇気」と呼びます。

  相手 の 気持ち が わから なく ても 気 に し ない。 その 代わり、 「言葉 や 表情 に なら ない、 この 私 の 気持ち を わかっ て!」  と 相手 にも 望ま ない。 それ が、 ヒト 流 の コミュニケーション を うまく やる コツ では ない かと 思う の です。

宿南章. ニャンと簡単に身につく! 心が休まる「アドラー心理学」

これいい本です。ネコの生態を使って、みごとにアドラーを解説してくれます。アドラーは確かにネコ型心理学かもしれないのです、絶妙。

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