同僚との比較に苦しんだ時の対処法

共同体感覚

今回は、仕事熱心なOLさんとのディスカッション。異動してきたデキる同僚の動きが気になって仕方がない、自分の仕事に集中したいのに集中できないのだといいます。

この記事では、他人との比較に苦しんでしまった人が、気持ちをどう切り替えるべきかについて考えます。

discussion「できる同僚の仕事ぶりに落ち込みます」

相談

悪い考えのループを絶ち切りたい、知恵をお貸しください。

職場異動してきた、仕事が出来る好子さんの周囲に対する調子の良い態度が見たくなくても見える位置で色んな意味で辛くて仕方ありません。私はもっと仕事だけに専念したいです。

好子さんと比較されずに仕事に集中するにはどうしたらいいですか?

・配置変更ができない
・好子さんの動きが目に入って疲れてしまう
・自分を責めてしまう

私がいたらないため、その辺に転がるよくある事だとは思いますが職場を変えずに仕事を頑張りたいです。
違う土俵を装えばいいのでしょうか、よろしくおねがいします。

回答

先ず、自分をもっと信じませんか?

私たちはこの世に唯一の頭と心と体に生まれてきて、無二の人生を経験しています。私たちの仕事には必ず自分らしさがありますし、仕事を続けていく以上必ず自分らしい成長があります。

今回の好子さんの異動によるあなたの葛藤は、その自分らしい仕事についての見直しと成長をしたいというあなたの心の奥底の叫びなのではないかと思います。

そういう向上心がなければ好子さんの仕事のデキ等気になることはないからです。

だから、配置変更等必要ないし、好子さんの動きを気にしていていいし、自分を責める必要もないと思います。

今こそ、もっともっとこれまで以上にあなたの仕事に専念するべき時、大きな見直しと成長の機会が好子さんの移動という形でやってきた、ということなのではないでしょうか。

回答に対して

仕事の見直しと成長…そうですね
回答ありがとうございました。

「もっともっとこれまで以上にあなたの仕事に専念するべき時、大きな見直しと成長の機会…」

大きな見直しと捉えてみます。

心に染みる回答を本当にありがとうございました。

人と比較されず成果を得る方法とは?

この相談内容には「同僚と比較されずに集中したい」という言葉がありました。彼女には同僚との真っ向からの競争は避けたいのだという明確な意志がありました。ナンバーワンでなくオンリーワンで評価されたいという意図です。

ナンバーワンになるには、競争の世界へ自分を解放することになります。もちろん、資本主義の原理原則ですから否定はできません。既存のルールや慣例の中で、ライバルと切磋琢磨しながら自分を伸ばして成果を出す、そんな行動様式になるわけです。この場合は、成果や実績に裏付けされる成長の自信がモチベーションになっていきます。

しかし、オンリーワンの世界は、競争の世界ではない自分らしさの追求の世界です。自分自身の資質と能力をベースに、自分らしいアイデアを取り入れた仕事の見直しを行って成果を上げていくという行動様式になるわけです。自分の世界観や能力の全てを信じる自己肯定感がモチベーションになっていきます。

自己肯定感とは?

自己肯定感の定義を知る為に、以下、日本セルフエスティーム普及協会サイトから引用します。

自己肯定感とは自己価値に関する感覚であり、自分が自分についてどう考え、どう感じているかによって決まる感覚です。

そのままの自分を認め受け入れ、自分を尊重し、自己価値を感じて自らの全存在を肯定する「自己肯定感」の感覚は、何ができるか、何を持っているか、人と比べて優れているかどうかで自分を評価するのではなく、そのままの自分を認める感覚であり、「自分は大切な存在だ」「自分はかけがえのない存在」だと思える心の状態が土台となります。

なぜ自己肯定感が注目されるのか?

自己肯定感の効用を私なりにひとことで言うと、個人の尊厳が守られる、ということです。これは日本の憲法の基本原理のはずなのですが、これまで私たちはこれを放棄するコミュニティーに生きていたようで、この癖から抜けられず、悩む人が多いように思います。

しかし、私たちのらしさが、生きるうえでのカギとなる時代になって、この自己肯定感は注目を集めているのだと思います。これ無しでは、実際にたいへんに生きにくいのではないでしょうか。

実際の職場でも、誰もが着手しても同じ仕事の結果が求められてきた時代はとうに過ぎて、その人だからできる成果が求められています。もはや比較するべきものではないはずなのに、自己肯定感の低さから他者との比較に捕らわれてしまい、振り回されてしまう人がいるようです。

しかし、この人達も、自分らしさと自分ならではの仕事を磨いていくことが、今やるべきことだと気が付いているのだと思います。

共同体感覚

他者を仲間だと見なし、そこに「自分の居場所がある」と感じられることを共同体感覚といいます。

他者はどれだけ自分に注目し自分のことをどう評価しているか?どれだけ自分の欲求を満たしてくれるのか?という心理状態は、他者を見ている様でいて、実際は自分のことしか見ていない態度です。

自己へ執着して、自己中心的にるなのは、課題の分離ができずに、承認欲求に捕らわれているからです。

そこに「自分の居場所がある」と思える所属感とは、生まれながらに与えられるものでなく、自分の手で獲得していくものです。

この時、他者と競争をしてしまうと、敵を作り、嫉みや不正を産んでしまうことがあります。わたしたちそれぞれは、どこまでも同じではなく、どこまでも対等な存在です。ありのままの自分らしさを失くす競争からは、降りてしまいましょう。

競争の原理が全てではありません。分業という智恵は、人間が群れを成した時から長らく築いてきた協力の原理です。

アドラー心理学「嫌われる勇気」の要約はこちらへ
完結編「幸せになる勇気」の要約はこちらへどうぞ

まとめ

対照的な2つの戦略、競争の世界に生きるナンバーワンと創造に生きるオンリーワン。ナンバーワンを目指す人、目指す時期があるのは当然だと思います。でも、すべて歴史が語るように、ナンバーワンの座を永遠に守りぬいた覇者は、人類史上まだ現れてはいません。

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